diary日 記 2025 / 03/ 01

閉店ラッシュは仕方ない

大正13年創業、四谷三丁目の大阪鮨と茶巾ずしで有名な「八竹」が、この3月一杯で閉店だそうです。創業大正13年は1924年ですから、百年超の人気店が東京からまた一店、消えることになります。親友の引っ越しや差し入れによく使い、私も好きでよく買っておりましたが仕方ありません。間口こそ狭いですが縦長のお店で、奥の作業場に大勢いらした職人さんたちの高齢化をつぶさにしておりますので納得です。
老舗有名店の閉店を聴くたびに客の私たちは声をそろえて「エエッー!!!!」とガッカリしますが、個人店は大変ですよ。ここにきて食材の高騰と人手不足に、困っていないお店はないですもの。それと、後継者がいらっしゃらない場合がほとんどですよね。大変な思いをしているわりに報われない親を見て育った飲食店の子弟たちは、よほど他にやることがないならともかく、お店をつぎたがらなくて当然です。それについだとしても、きっと自分の代で閉めるだろうと思っていらっしゃることでしょう。それでは次に、目をパリに転じて彼の地の老舗有名店の今をザックリ検証してみましょう。
・・・・・・、そういえばフォションもラデュレもル・ノートルも、大手か外資に買収されて、とっくの昔に創業者一族の手を離れております。まあ、今あげたお菓子屋さんや食品店は世界的な有名店ですから、「八竹」クラストとはレベルがちがいます。それでは、観光名所でもある市場、ムフタール通りの人気店あたりを思い出してみましょう。チーズ屋さんと魚屋さんは子供世代が継いで2代目ですが、他は店舗形態が変化。シャルキュトリーがお菓子屋さんに代わり、キッチン用品の専門店がツーリスト相手の石鹸屋さんになってます。稼業を孫子に継がせるのは親のエゴとばかりに流行っているうちに店を売って、田舎に転居。町の景観こそ昔のままですが、店舗の経営形態は様変わり。年金がもらえるようになったらスタコラサッサと店を手放し、生活費がかからない田舎の一軒家に引っ越して後半の人生を楽しむ算段をしますもの。
ジョワ・ド・ヴィーブル、生きる歓びを一義的に考えるフランス人は、お客さまのために刻苦勉励はなしです。自分の幸せあっての稼業と、誰もが割り切ってますものね。「八竹」さん、101年間がんばって偉かったですね!!!!!