「パリ五輪」の開会式についてとやかく言われてますが、日本人のアスリートが心置きなく実力を発揮できた結果が20個の金メダルにつながったわけで、願ったり叶ったりでしたね。開会式にケチをつけている方もいらっしゃるようですが、開催国の国民の86%がよかったと言っているわけですから、ヨシとすればいいのにと。開会式のしょっぱなから黒人歌手が続いたのは奇抜でしたが、フランス共和国の現実は移民大国の多民族国家。大英帝国ほど儲からなかったものの、ルイ14世ころのフランスは三角貿易の富で絶対王政を確立。ルイジアとかヌーヴェル・オルレアンと呼ばれていたニューオリンズなどが、当時の仏領です。アメリカ大陸航路の船倉でできたカップルを途中の島々で下船させ、サトウキビ畑の労働に携われさせるといった粋な計らいの結果が、カリブ海を含む西インド諸島の領外県のはじまりでした。マグレブと呼ばれる、北アフリカの旧植民地からの移民労働者もたくさんいますし、パリだけでなくフランスは人種のルスボ。素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたLGBTQ集団をカトリック教会側が批判しても、彼女たち彼らは開会式用のキャスティングではなく日常的。いつもは体制側に決まって批判的な姿勢を崩さない一般国民が、開会式を讃えたという数字は説得力があります。批評家が何と言おうと、天邪鬼なフランス人たちとが「ナイス!!!」と首を縦に振った点がスゴイです。『パリ五輪』については、これで終わり。次はガラッと変わって、映画ネタです。
今、「トロワグロ」のドキュメンタリーを観に行こうかどうしようか、思案中です。私のパリ時代の前半は、わが国の町場フレンチの隆盛期でした。フランスから帰国した石鍋さんや鎌田さん、井上さんたちが腕を競い合うように東京で本格的なフレンチを手掛け、次々に独立。彼らがフランス時代に修行した先が、すでに三ッ星で安定していた『トロワグロ』、リヨンの『ポール・ボキュース』や若くして亡くなった『アラン・シャペル』でした。そのころジョエル・ロビュションは、今は亡き日航ホテルのシェフでした。他に三国シェフが修行していらした『ジラルデ』とか、パリにも『ヴィバロワ』など、キラ星のごとく名店がありました。『トロワグロ』は今のシェフ、ミッシェルのお父上と叔父さまの時代でした。今回のドキュメンタリー仕立ての超大作の舞台は、数年前に大改築して大自然の懐に抱かれたようにECOっぽく仕上がって素敵です。旅籠時代から数えると4代目、ミシェルの息子さんも厨房で活躍。以前は2部屋だけしかなかった宿泊用の部屋数もふえ、素晴らしいのは分かってますが、中休みがあっても4時間はネ・・・・・・。そんな中、一昨晩の深夜、零時を回ったころに魔が差したように【昭和の名画10選】をクリック。その中で観ていなかった、山田洋次監督の『遥かなる山の呼び声』を堪能。『幸せの黄色いハンカチ』の前哨戦のような作品だと聞いてましたが、1980年作のそれが大当たり。どっぷり昭和に癒されたというか、朴訥な健さんと倍賞千恵子、子役の吉岡秀隆君が抜群でした。ジーンとくるシーンがあったわけではありませんが、出演者の全員が芸達者で27㌅のPCで無料視聴。クセになりそうな、深夜劇場でした。