diary日 記 2024 / 03/ 01

本屋さん大繁盛の仕掛人はマクロン大統領

「地方の本屋さんが、なぜ、こんなに混んでるの???」
今回、フランス旅行で訪れたル・アーブルというノルマンディー地方の港町の書店さんの盛況ぶりに私の足がピタリと止まり、千客万来の店内に吸い寄せられました。パリの出発駅、サン・ラザール構内の書店ならわかります。車内で読む本を買う人がたくさんいて当たり前ですが、ル・アーブルだったのが驚きでした。ところが翌日、訪れたアミアンでも同じ光景に出会ったのです。そして三日目の正直で、ボルドーのメインストリートの本屋さんは面白かった。入口と出口がしっかり決められていて、出口からは入れませんでした。そして店内のところどころに設置してある、パソコンで若者たちが欲しい本を検索。わが国の書店にある本の検索機とはちがって、置かれてあったのはごく普通のパソコンでした。出口と入口が定められていたのは盗難防止でしょうが、スタッフさんも含めて店内の人口密度はまるで芋洗い状態。そして三日目にして私は、ボルドーの大きな書店で本を物色していた青年に意を決し、こんな質問をしてみたのでした。「あなたにとって本は、どんな存在なのかしら???」と。わが国の書店さんはどこも、お気の毒なほど閑古鳥が鳴いているのになぜと、素朴な疑問が湧きました。聞いた青年がしばらく考えていた様子でしたから、私の質問が彼に伝わらなかったのかとひるみましたが、返ってきた彼からの答えはこうでした。「SNSやYouTubeを見ても、本を読まないとエレガントでユーモラスな文章は書けませんからね」と。それを聞いた私は、たしかにと心の底から納得。ところが次の瞬間、隣にいた彼の仲間が私に、こう付け足したではありませんか。「マダム、そうじゃないですよ。カルチャー・パスの期限が切れるから、彼は真剣なんですよ」とね。そして私は「そうなの、メルスィー・ボクー」とニッコリ笑って、ポケットのスマホで【France Pass Culture】を検索。数秒でコロナ・パンデミック最中の2021年5月、マクロン大統領が導入した【カルチャー・パス】の存在を知りました。下欄でご説明しますが、すでにご存じの方は、飛ばして次のページの写真をご覧ください。「パリ五輪」開催に際してフランスが誇る文化について声高に語り、世界最大のスポーツの祭典と文化をドッキングさせるといった趣旨をとうとうと述べたマクロン大統領ならではとスマホを覗いて唸りました。

「エッ!!! 18才で300€(円安の今なら約5万円)のカルチャー・パス????」 まだまだありました、15才で20€、16才と17才は30€と中高生にもパスが拡大。アプリをダウンロードしてアカウントを作成するだけで、18才なら24か月間有効な5万円分のカルチャー・パスがもらえます。そのパスは書籍だけでなく、映画やお芝居、コンサートのチケットにも使えます。フランスの若者たちに日本のマンガが大人気なので、最初の内はマンガ・パスと揶揄られたそうですが、なんのその。ジャンル別の売れた本1位が自己啓発で2位が小説、3位がサイエンス・フィクションで4位が哲学だそうでした。予約はオンラインでしても、注文した本は書店に取りに行くことになっている点で売り上げに貢献。子供手当も大切ですが、本離れが深刻なわが国にも、ぜひ、導入していただきたいです。本屋さんは、若者で賑わっていてほしいですものね。