diary日 記 2023 / 12/ 01

玉子が1パック10個入りの日本、12個入りのフランス

90年ごろだったと思いますが、『日経トレンディー』という雑誌の依頼で、パック入り玉子の数を調べたことがありました。わが国は10進法が多用されているからかしら、多くのものが10個入りですよね。玉子も10個入りがほとんど。畳の部屋にある座卓は長方形ですから、いっぱいに座ると8名か10名なのに、和食器は1箱が5客ですよね。ウチの楕円テーブルは6人掛けで角がないのでパンパンでもいいときは10人まで座れます。それなら箱入りの新品を2箱買えばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、新しいものにこだわりませんし、古いモノはいいモノだといった先入観も手伝います。それに欠いたときの予備分もいりますから、ついつい骨董市に足が向きます。骨董市といっても高価なものではなく、たまには本物の骨董に出会いますが古物の場合がほとんど。玉子の話に戻しましょう。フランスのパック玉子は12個で、6個入りはBIOのショップにはありますが、普通のスーパーではあまり見かけません。『日経トレンディー』で調べろと依頼されたおかげで、ドイツやイタリア、スペインでも、アメリカに行ったときも、スーパーに入るとついついパックに入っている玉子の個数が気になります。アメリカ12個、スペインは大きくて18個というのが不思議でした、家族が多いのかしら。フランスの12個は、ダース勘定が浸透しているからです。X’mas近くになると菰に入った生ガキが、魚屋さんや生ガキを出しているお店の外に並びます。牡蛎を剥くのは私の役目なので、ゾッとしながらも来客のときは犠牲的な精神から、菰入り生ガキを配達してもらいます。牡蛎はまちがいなくドゥーズ、12個単位。ひとつの菰に大粒で48個、小粒で60個入ってますから、剥いていて手が痺れます。そうでした、ロンドンのスーパーでも玉子は12個入りがほとんどでしたっけ。

フランス人にパック玉子の話をしましたら、自分たちはロジック、つまり理論的だから12個ずつだと主張しました。2X6、6X2、3X4、4X3に比べて10は2X5、5X2しかないじゃないかと。なるほど……反対に私たち日本人は理屈っぽい人間を嫌悪する傾向にありますもんね。パリ5区、カルチェ・ラタンの一角に、コントレスカルプ広場というのがあるんです。ヘミングウェイの『日はまた昇る』に登場するカフェがあって、少し前まで、かならず乞食がいました。コントレスカルプ広場の乞食は、「ル・モンド」という難しい新聞を読むといわれておりましたが、乞食でも雄弁だったのはたしかです。10という数字は半分にすると奇数の5になってしまいますから、ダメだとも。玉子の話がそれたようですが、そうでもありません。つまりフランスは、ペア社会に極まります。友達を招くときもペアが当然ですから、ふたりで来るのが当たり前だと思う。「あなたおひとりで……」とは、口が裂けても誘えません。誰もが他人に寂しい人間だと思われたくない意識が強いので、相手探しに躍起になる。LGBTの縛りはありませんから、だれでもOK。愛、アムールがあればそれでいいじゃないかと。反対に、愛がない関係にしがみついているなんて、品性を疑われてしまいます。そうこう考えると、私たち日本人って、なんなんでしょうね。親子と夫婦の愛を天秤にかけたら、夫婦の愛が宙に浮いて飛んで行ってしまいますもんね。これからフランスに行きます。急いで書いたので支離滅裂ですが、次回にご期待ください。ア・ビアント!!!!!