diary日 記 2023 / 07/ 01

セーヌ河岸で60万人がオリンピックの開会式を観る

持つべきものは、情報にたけた若い親友です。仲良しのYさんが気を利かせて、TVをほとんど観ない私のためにNHKのパリ特集をダビングしておいてくださいました。おかげで彼女からもらったCDをパソコンに差し込み、自分の部屋でパリの今をオンデマンドで堪能。コロナで行けてなかった間に変った箇所を探して、画面に食い入るように眺めました。セーヌ河岸に設えられるオリンピック開会式の観客席については後述するとして、番組をご覧にならなかった方のためにそれ以外の、目新しいパリ情報をお知らせします。パリっ子の親友たちのだれもがコロナ禍で廃れてしまった町の惨状を嘆くことしきりでしたが、映しだされたパリは見事に蘇生。パトリス・ジュリアンさんと雨宮塔子さんたち他、3組の案内役もナイスでした。LGBTを象徴するレインボーカラーの目印が、マレ地区あたりに散見。コンコルド広場に面した、フランス革命以降は海軍省が置かれていた建物が、オテル・ド・ラ・マリーヌの呼称で新たなる観光名所に参入。2021年、コロナ禍のさなか2百年ぶりの公開だったそうでした。コンコルド広場に出現したプチ・ヴェルサイユよろしく、鏡の間もあり内装や丁度の類も絢爛豪華。目と鼻の先で刑場の露と消えた悲劇の女王、マリー・アントワネットさまを偲んでか、ルイ王朝風に着飾った男女の舞踏会もなかなかでした。左岸のゴブラン通りに河岸を移すと、大きいのに愛苦しいクマの縫いぐるみがいるショップやカフェが何軒もあって笑えました。クマちゃんといえば英国、パディントンのテディベアが十八番ですが、コロナ期間の癒しになったカルチエ・ラタンのそれはパリっぽくユーモラス。サン・ジェルマン・デ・プレの脇道を入ったフリュスタンベール広場に古くからある骨董屋さんも、世代が交替して驚くほどシックになってました。このほかにパリならではのパッサージュ巡りに続き、かつて私の遊び場だったカルナヴァレ美術館もツーリスト受け満点のモニュメントに変身。後半はセーヌ川の中州、パリ発祥の地として知られるシテ島の花市やドーフィンヌ広場から石造りのポン・ヌフ橋に上がり、再建中のノートル・ダム寺院でオーラス。オリンピック開催に向けて着々と準備が進んでいるパリを見て、大いに安心いたしました。それでは今日のテーマ、パリ・オリンピック開会式の会場で余白を埋めさせていただきます。

その前にひとつ、パリで和菓子がブームなのは聞いておりましたが本当でした。セーヌ川に浮かぶ平底船のペニッシュで、日本で和菓子修行を積んだパティシエールさんが手作り大福を披露。大福はフランス語でずばりグラン・ボヌールというのも、説明しやすくていいですね。それでは次に、肝心のオリンピック開会式についてお伝えしましょう。会場の中心がセーヌ川のエッフェル塔寄りであることは、このページのinf.にありますので、ご確認ください。番組の冒頭で映し出されたオルセー美術館前のセーヌ河岸に新設されたスペースを見て、私の目が点になりました。開会式に集まる観衆数を60万人と想定して、セーヌ河岸の随所に見学場所を設けているマクロン大統領の離れ業に言葉を失いました。「セーヌ川でやるから、どこからでも観られる」とはいえ、代々木の新国立競技場の観客席6万8千とは桁がちがいます。パリ、セーヌ川での開会式の予想が四半世紀前のサッカー、パリ・ワールドカップの狂騒にタイムスリップ。ジダンの活躍で開催地パリのチームが優勝を果たした夕方から未明の混乱状態を思うと、オリンピックは大丈夫かしら。フランス革命2百周年を記念するモニュメントをいくつも完成させたミッテラン大統領も偉かったですが、このままいけばマクロンはもっとすごいかも。焼け落ちたノートル・ダム寺院を再建し、パリ・オリンピックを成功させたヒーローで十分じゃないですか。ところが強気なマクロン大統領はそれだけでは気がすまず、伏魔殿にたとえても大げさではないほど困難な年金改革にまで着手しているのですから危険です。ウーッ、……ぞくぞくするほど楽しみ。しばらくパリから目が離せませんね、ア・ビアント!!!!!!