diary日 記 2022 / 12 / 01

世界で一番安全安心な国 NIPPON

杏さんのパリ生活のお話を読むと、過去にあったさまざまなことを思い出します。郊外にできたてのイケアで机を買って、配達を指定日の午後便にしておいたときのことでした。なんと荷物が、私が買い物に出ていた午前中に来てしまい、「留守だったので、商品を持ち帰りました。下記の場所に連絡ください」という紙切れだけが郵便ポストに残っていたことがありました。手元に配達希望日の欄に午後指定と記された紙を用意し、電話すると待つこと延々。小一時間でやっとつながり、電話相手のマダムに午後指定を無視して午前中にやって来た配達員のミスを伝えました。すると「オ・ラ・ラ、近くに午前指定の配達があったのね」ですって。取り付く島がないというか、諦めるしかなかったです。今ならパリ市内にイケアが出店しているくらいですから、再配達してくれるでしょうし事情がちがいます。当時、私が乗っていたミニでは積めなかったので、バンを持っていた友人のフランス人夫婦に一緒に行ってもらって机を受け取りましたっけ。次にパリに行ったら引退して南仏、といってもコート・ダジュールではなく陽気のいい南フランスに移住した彼らの家にお礼がてら行きたいと、今、これを書いていて思いました。アマゾンは、いうまでもあくアメリカ生まれの会社です。だからといって、アメリカで通販生活が日常的にちがいないと思うのは早計です。プリンセスM子さまがお住まいのコンドミニアムなら、常駐のコンシェルジュが小物なら預かってくれるでしょう。イケアの配達予定日を記した用紙をフロントに預けておけば、仮に午前中に配達員が来たとしても、「お客さまのご指定は本日の午後だぞ」とバトラーよろしく、一括してくれることでしょう。ところが同じN.Y.市でも、中心から50㌔離れた戸建てとなると、そうはいきません。受取人が在宅なら届くでしょうが、パリやロンドンでも宅配ボックスだと怪しいです。安心していられるのは、注文した商品が郵便ポストに入るサイズまでだと思った方がいいかも。

もう大昔のことになりますが、パリから東京に生活の拠点を戻した年のことでした。一時帰国のときにいた家でしたし、区域のヤマトさんの顔ぶれとは馴染みでした。真夏の、ある午後のことでした。仕事先からの帰りに自宅玄関の手前数メートルに、ヤマトさんの大きな手押し車が止まっていたではありませんか。近づいても、配達員さんの姿かたちがありませんでした。覗くつもりはなくても、お中元シーズンだったので高島屋や伊勢丹、松屋の包装紙の箱がやたらと目についたではありませんか。今の私ならそのまま素通りできますが、パリ生活を切り上げたばかりだったので感覚がちがいました。あのときの私は、置きっぱなしになっていた手押し車の中身が誰かに盗まれそうで気になって、その場から離れられませんでした。送り主から預かった小包を配送の途中で盗まれでもしたら、配達員さんの責任は免れないではありませんか。人通りが多い場所でしたし、立ち尽くす私は宅急便の手押し車の番人に変身しておりました。そして、ものの10分ほどで戻って来たヤマトさんが私を見て、「奥さん、こんなところでなにしてんですか?」と。当たり前なことを聞かないでよと思いつつ、「盗まれないように、見張ってあげたのよ」といった私に彼いった、「奥さん、苦労したんですね」のひと言が、笑えました。