diary日 記 2022 / 04 / 15

パリっ子憧れのベランダ朝食

更新用にキーボードを叩きながら、このマンションに引っ越してきたときのことを思い出しております。長いこと忘れておりましたが、引っ越してきた週末、はじめてやってきた娘が私に最初にこう申しました、「いいじゃない、今度はベランダがあるからプチ・デジュネ(朝食)ができるじゃない。アンヌのママが、憧れてたものね」と。アンヌは娘が今でも仲良くしている、パリ時代の中高の親友です。彼女たちが引っ越した先のラスパイユのアパルトマンのベランダで、彼女の母親がうれしそうに朝食をとっていたことを、娘が思い出したというわけでした。イケアで買った折りたためるガーデン用のテーブル・セットを置くと、人ひとりがおなかをへこませないと通れないほどの狭いスペースですが、都心の住宅事情は東京もパリも大差ありません。私の寝室兼仕事場が縦長で狭いのも不思議と共通していて、またしてもベッドが縦にしか入りませんでした。肝心のベランダに置いてあるテーブルのサイズが気になって、今、測ってまいりましたら55㌢角。アンヌたちが住んでいたアパルトマンのベランダとうちのそれはほぼ同じか、うちの方が若干広いかもしれません。パソコンを置いている机の横の窓とお隣のマンションとの間隔が30㍍弱しかありませんが、パリは路地がもっと狭いですからより接近してます。道を挟んでお向かいにお住まいの若い女性が、ショーツ一枚で部屋の中を堂々と歩き回っていたのも丸見えでしたっけ。彼らは週末のディナーにお客さまをすると、季節のいい頃ですと食後はみんなして、狭いベランダに河岸を変えます。深夜、ワイン効果が手伝ってボルテージが上がった彼らの楽し気な話し声がジョワ・ド・ヴィーヴル、生きる歓びを体現。その意味ではベランダのある部屋が、都市生活者パリっ子の理想でもあります。パリ時代に思いを馳せ、これから私が実践しているベランダ編をご紹介しましょう。

もうだいぶ時間がたってしまいましたが、今のマンションに移った記念に、『徹底してお金を使わないフランス人に学んだ本当の贅沢』(主婦の友社)をだしていただいたときも、ベランダで何カットか撮影してもらいました。いつもはテーブルに置いてある、由緒正しい訳ありアイビーのプランターをどかして、プロヴァンス地方で買った生地を掛けてパリ風プチ・デジュネを用意。カフェ・オレとバゲットにコンフィチュールとバターを添えて、都心の小さなベランダとは思えない写真に仕上がりました。何しろ自然光ですから、素人の私もワンカット欲しいときなどに手を変え品を変えベランダを活用。スペースに制約があるので2人か、せいぜい3人までですか、女同士のワンプレート・ランチもなかなか好評。何しろ今の時代、誰もが気分を変えたいと思っているのですからベランダを使わない手はありません。食事が終わって室内に移動すれば、また新たなるスタートになるのですから願ったり叶ったり。早い話が、大人のおままごとだとお考えいただいてもいいのではないでしょうか。それに家もベランダも、お客さまをすることで断然キレイに変身。小さな子供さんを連れていらした方には、より安全な遊び場にもなりますしピクニックもできますよ。ベランダで午後のお茶がこれほど受けるようになろうとは、正直、想定外でした。ウィズ・コロナで緊張感が緩和いたしましたが、ピークのころはベランダ・カフェをご所望の方もいらっしゃいました。マンションのベランダは共有部分ですが、物干しに占領されてはもったいない。あなたのベランダをパリ風に蘇らせてくださいな。