diary日 記 2022 / 01 / 01

年明け早々、またしても再読のススメ

お正月から本ばかり読んで……」と自嘲気味ですが、テレビも映画も今イチ。仕方がないからベッドに寝転がって、ひたすら読書です。ローガンで本を読むのが苦痛だとおっしゃる同世代がたくさんいらっしゃいますが、持つべきものはメガネ屋さんのお友達。コロナ前に駆け込み南仏旅行にご一緒したご夫婦、実はメガネ屋さんなんです。ご主人が私の先輩で検眼のプロなので、とても使い勝手のいいメガネをこしらえていただけるんです。私のお抱えメガネ屋さんといったら僭越ですが、だもんでフランス旅行のガイド役くらいお安い御用。コロナが明けるのを待って、今度はパリからセーヌ川を下ってノルマンディーに点在する印象派の足跡にこだわる旅の計画を立ててます。パソコンと読書に耽る時間が長いのでローガンがどんどん進みますが、メガネに不自由しない幸せ者の私。本は書店で買いたいんですが、読みたい本が本屋さんにないので仕方なくアマゾンで購入。パリからの引っ越しに際し、書棚にあった日本の本はブルゴーニュに住んでいる親友に取りに来てもらいました。運賃が高いのでコンテナーに詰め込む物の優先順位は、フランスの本と使っていた家財道具でしたから、文庫本も単行本も欲しい本は東京で買い直しました。先ほど眺めましたら、新潮文庫と岩波文庫、角川文庫が東京の本棚の約半分を占めてます。と思って今、再読している『宮沢賢治全集』の背表紙を見たら、ちくま文庫でした。

「雨にも負けず……そういう人に、私はなりたい」で決める宮沢賢治のセンス、最高ですよね。 彼を二宮尊徳と取り違えていらっしゃる方がおられますが、農学校のことを書いているので紛らわしいかも。賢治は農政や経済には触れず、ひたすらロマンを追いかけます。カンパネルラとかジョバンニという少年たちの名前など、あの時代に『銀河鉄道』のネタをどこで仕入れたのかと考えるだけでぞくぞく。余命いくばくもない息子のためにリッチな父親が、お金に糸目をつけずに知的贅沢をさせてくれたおかげで、今、私が深夜にうふふです。賢治の父親の価値観がわが国の文化に、大いに貢献してくれたわけですね。私が賢治の真価に出会ったのは『宮沢賢治全集』の第7巻でした。本の一部を抜粋してみますね、賢治とはこういう人間です。
一千九百二十五年十月十六日
一時間目の修身の講義がすんでもまだ時間が余ってゐたから校長が何でも質問していいと云った。けれども誰も黙ってゐて下を向いてゐるばかりだった。ききたいことは僕だってみんなだって沢山あるのだ。けれどもぼくらがほんとうにききたいことをきくと先生はきっと顔ををかしくするからだめなのだ。
  なぜ修身がほんたうにわれわれのしなければならないと信ずることを教へるものなら、どんな質問でも出さしてはっきりそれをほんたうかうそか示さないのだらう。 と、こんなわけで、なるほど核心に触れている気がしませんか? ほかにもたくさんあって私の中では宮沢賢治がAランク。ストーリーを追うならスタンダールやモーパッサン、ヘミングウェイもめちゃめちゃ格好いいですが、最終的には日本語が読みたい。ダメでしょ、読んでばかりいないで書きなさいにおこたえて、「ハイ、書いてます!!!」で、今年もこのページをよろしくネ!!!!!