diary日 記 2021 / 11 / 01

ウエスト・サイド・ストーリー

12月10日のカレンダーに、W.S.Sと記しました。監督がスピルバーグでリメイクされた「ウエスト・サイド・ストーリー」がどんなか、今から興味津々。「ジュラシックパーク」や「シンドラーのリスト」など話題作で知られる名監督が、どう料理してくれているか楽しみです。歌は吹き替えでしたが、旧作で「トゥナイト」のときのナタリー・ウッドの可憐さが忘れられません。といっても、あの時代のハリウッド映画と今を比較してもナンセンス。邦画もしかりで、昔はよかったになるのが定番ですものね。でもですよ、映画ヒットの指標だといわれているテーマ音楽が同じ「トゥナイト」ですから大丈夫でしょう。初演はロバート・ワイズ監督で、アカデミー監督賞を受賞。4年後に「サウンド・オブ・ミュージック」で二度目のアカデミー監督賞をもらってます。映画化の前にブロードウェイで、劇場デビューもしてました。

1961年にわが国で上映されるや、ジョージ・チャキリスを先頭に長い脚を上げて踊るシーンが超有名になりましたよね。マンハッタンのウエスト・サイドを舞台に、ふた組の不良グループの二日間の喧嘩と恋の物語が進行。ポーランド系移民の白人グループのジェッツと、ヒスパニックとも呼ばれるプエルトリコ出身のシャークのふた組です。ジェッツの元リーダーのトニーが、シャークのリーダー、ベルナルドの妹のマリアに一目惚れ。喧嘩の発端になった、ダンスパーティー会場にマリアが着ていった、ベルナルドの許嫁が作ったドレスの素敵だったこと。シャークのリーダーがジョージ・チャキリス、妹のマリアがナタリー・ウッドで、彼の許嫁のアニタ役がリタ・モレノでした。夜空に洗濯物はためく貧民街のウエスト・サイドのアパートのバルコニーで、「トゥナイト」を歌うマリアとトニーがメロドラマ仕立てを演出。シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きに脚本が書かれたそうで、ロミオの立場のトニーが犠牲者になります。その一方でジェッツとシャークの非行少年たちの、乱闘スレスレのダンスが圧巻。先頭で長い脚を上げているジョージ・チャキリスたちが、映画のポスターになりました。その10年ほど後だったでしょうか、伊仏合作映画の「ブーベの恋人」を観て、衝撃が走りました。ブーベ役のジョージ・チャキリスより主人公マーラを演じたクラウディア・カルディナーレの方が背が高いではありませんか。製作は「ウエスト・サイド」の2年後の63年でしたが、私が観たのは大学に入ってすぐの年でした。ファシストの生みの親、ムッソリーニが幅を利かす第二次世界大戦中のイタリアの田舎町が舞台で、こちらはぐっと社会派。反ファシスト活動家のブーベが兵隊を殺したことで、軍事裁判で懲役14年の刑が下されます。監獄で人間不信に陥ったブーベが唯一心を開いたのがマーラだったので、彼女はすべてを投げうって汽車に乗り面会を繰り返すわけです。あっという間にマーラ青春の7年が過ぎても、まだ監獄通いの半分しかたってません。ジョージ・チャキリスなんて捨てちゃえと、渋谷の映画館で歯がゆい思いをした記憶が蘇ります。まあ、よくよく考えればヒットラーもムッソリーニも終わり、イタリアの終戦でブーベは即釈放されたはずですから、マーラの不幸はそう長く続かなかったことになります。それにして「ウエスト・サイド」のヒーローのチャキリスが、暗いパルチザンを見事に演じてくれました。さてさて、リメイク版のベルナルドはどうかしら。第六波で緊急事態宣言復活にならないことを、ひたすら祈りましょう。私たちができることは自己管理、免疫力のUPのために楽しいことだけ考えましょう。