diary日 記 2021 / 09 / 15

「逆さ地図」で日本が島国ではなくなった???

もうみなさんご存じだと思いますが、「逆さ地図」が話題になってます。富山県が国土交通省の承認を得て作成したそうですが、地図本来の北が上、南が下、右側が東で左が西が真逆。だいぶまえから市ヶ谷の防衛省内のいたるところに「逆さ地図」が貼ってあったそうですが、以前に買って読んだ「さかさまの世界史」どころの驚きではありません。江戸時代の鎖国下、太平洋をひたすら東に向かったジョン万次郎も奇跡の人でした。14才で乗っていた土佐の鯵鯖漁船が難破し、仲間たちと現在の鳥島に漂着してアメリカの捕鯨船に救われ、太平洋を横断してアメリカに到着。ゼロから英語を学んで優等生になりジョン・マンと呼ばれ、造船学や地理学を身につけて帰還。薩摩藩主の島津斉彬が万次郎を重用したことで、幕末から明治にかけて大活躍。かなり古いですが、井伏鱒二さんが彼をジョン万次郎という名の主人公にした小説で直木賞を受賞してから、不朽の呼称になりました。みなさん、話の辻褄合わせに躍起にならないでね。

「逆さ地図」の出現で思わず世界史の地図帳をじっくり眺めてみました。聖徳太子は百済や高麗の高度な文化を吸収し、律令を整理し法隆寺を建立。そうした大和朝廷の発展を中国の隋に知らせたいがために、小野妹子を遣隋使として送りました。続く遣唐使は大勢いて、初代の犬上御田鍬は有名ですが、阿倍仲麻呂と山上憶良も行ってます。遣隋使も遣唐使も訪問先の中国からは、女王卑弥呼もそうだったらしいですが属国の民としてあしらわれたようです。黄河文明に端を発する中国はときすでに超大国ですから、当然といえば当然。万里の長城の建設がはじまり、唐都西安の繁栄は世界一。シルクロード経由でまだ粗野だった西欧社会にもたらされる絹織物、宝飾品がどれだけ珍重されたことでしょう。わが国からの遣唐使の存在が認められたのは、空海と最澄あたりからではないかという気がします。CGを駆使した映画「空海」の出来はイマイチでしたが、空海は真言仏教、最澄は天台仏教の開祖としてわが国の精神文化に貢献。「逆さ地図」に啓発されてあれやこれや考えていると、いつの間にか日本が島国でも日本人が島国根性でもなくなるからすごくないですか? 唐につづく宋の時代もわが国との貿易は栄えてますし、なんといってもフビライが出現する元の時代が激しいです。私が大好きなマルコ・ポーロさまはフビライが発行する通行証を持って、東奔西走でヴェニスの商人の真骨頂を発揮。岩波書店から14年がかりで発売になったマルコ・ポーロの「東方見聞録」に、わが国がジパングと呼ばれて書いてある個所がほんの少しございます。フビライが指揮する二度にわたる元寇の役が失敗に終わり、逃げ帰った兵士たちからマルコ・ホーロさまが聞いたジパングについて記されてます。ここ20年ほど国威をたかめているのがアメリカの気に障っているようですが、中国は現存する世界史最古の超大国。アヘン戦争で大英帝国の欲に翻弄された時代から負の連鎖がスタートし、日清戦争でわが国に敗れたのがマズかった。清朝末の満州国建国で、日帝が彼らのプライドを刺激。中国四千年の歴史のほんの数年、わが国の植民地にされた屈辱が永遠に許せない。1776年生まれのアメリカを蔑む中国の気持ちもわかります。国際政治はいろいろですが、わが国が島国ではなく、日本海という大きな湖を囲んで朝鮮半島からユーラシア大陸につながっていると思うと私はハッピー。「逆さ地図」でヨーロッパに行こう!!!