diary日 記 2021 / 06 / 01

通販でみつけた、南仏リュベロンの白ワイン

久しぶりに、いいものを見つけてうれしくなりました。ネットで買った、「フランス厳選白ワイン12本」の段ボール箱に、南仏リュベロン産の一本が混ざっていました。それはコロナ寸前の19年の晩秋、先輩ご夫婦と駆け込みで訪れた旅先のビストロで飲んだ思い出のワインでした。またまた食べ物の話で恐縮ですが、ほんわか気分になれたのでお聞きください。ワインは好きですが、コレクター趣味は皆無。選ぶ基準はラベルで、産地とネゴシアンといって仲買いの社名を見れば、フランスのワインなら外さない自信あり。おもてなしにも普段飲みも、お料理に欠かせませんからストックしておくだけで、蘊蓄はなし。チリやアルゼンチンといったニューワールド系もおしなべて美味しくなってますが、現地価格を知っているフランス産ワインについつい手が出てしまいます。だってフランスのスーパーで買う値段とほぼ同額で、かつて訪れた村で飲んだ記憶をよみがえらせてくれるワインが買えるんですもの素敵でしょう?ボルドーの五大シャトーやブルゴーニュ地方の最高級、ロマネ・コンチのブドウ畑をさすD.R.C.とまでいかなくても、フランス物は高いワインでないと儲からないという業者さんの嘆きが聴こえそう。その理由は、わが国の商社や大手輸入会社の量買いシステムのなせる技。もちろん高級ワインはその範疇ではありませんが、ごく普通のワインなら大型コンテナで年間買い付け量を条件に、消費税が高いフランス国内の小売価格を大幅に下回る価格で商談が成立。お財布に優しくて美味しいワインが、私たちに届く仕組みになってます。

高い安いの話はやめて、冒頭のリュベロンの白ワインについてお聞きください。羽田からCDG空港はトランジットで、ニースに到着。南仏旅行の前半は、日本から予約しておいたホテル泊。ニースを拠点にサン・ポールのマーグ財団の美術館や市内のシャガール美術館など、芸術家ゆかりの日々を満喫。マチスがデザインした、ヴァンスの礼拝堂へも行きました。そして旅程の中盤と後半は大きなトランクをニースのホテルに預け、軽装でアヴィニョンに向かいました。途中で立ち寄った、ルノワールの終の棲家になったカーニュ・シュル・メールの感動を携えてアヴィニョンに到着。バスの時刻表をもらいに観光局を訪れましたら、プロヴァンス人気が絶頂のころは充実していたバスの便がなくなってました。驚きを隠せない私に、観光局のマダムがガイド上手なドライバーを推薦。ファビアンという男性が運転する新車のベンツで丸一日、リュベロン、ゴルド、セナンクなどプロヴァンスの素晴らしい村々を堪能。愛想がいいタイプではありませんでしたが、彼は実に優秀なガイドさんでした。午後はアルルでゴッホゆかりの場所を隈なく巡り、今、思い返せばその日が私たちの南仏旅行のメイエメントになりました。大満足でアヴィニョンに戻り、観光局近くの大きなブラスリーの歩道に面した特等席で夕食。三段の銀器に盛られたエビや生牡蠣の盛り合わせを囲む私たちに、道行く誰もが親指を立ててイイネの合図。私たちのその日一日を見透かしたかのように、よく冷えたリュベロンの白ワインが運ばれて来たのでした。「行かずに楽しむフランス旅行」で今日は、飲んで楽しむ編にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。