diary日 記 2021 / 04 / 01

作って食べて、舌で楽しむフランス旅行

まずはじめは、地中海に面したニースの海岸線をお散歩して、旧市街を抜けて山側に建つ「シャガール美術館」にご一緒しましょう。シャガールが住んでいた、ここにしかない大作の数々を鑑賞してから、入り口近くの屋外ビストロに行ったつもりになって、メニューにあったサラダ・ニソワーズを作りましょう。ランチなら、これとひと切れのパンがあれば完璧。お材料の野菜は、サニー・レタス、きゅうりとトマト。つぎに肝心なのが茹で卵で、ひとり1個を目安に、壊れない程度にカットしておきます。黒オリーブ数個とツナ缶、アンチョビも欲しいですね。ひと手間かけて、角切りにした茹でジャガがあったら最高。お野菜、具の置き方はご自由に。燦燦と降り注ぐ太陽をイメージして、それぞれのお材料が目立つように散らして、たっぷりのツナ缶を乗せましょう。緑、赤、黄色と白、ツナ缶の多彩色を、オリーブの黒で〆。市販のドレシングを使わないので、オリーブ油とすし酢を半々でよくかき混ぜて、お皿全体にまんべんなく振りかけてできあがり。ドレシングにすし酢は、意外ですか?調味料で美味しく仕上がった、市販のすし酢は実に優れもの。サラダ・ニソワーズのためにバゲットを買いに行くのもなんですから、ある食パンをトーストして生のニンニクを刷り込むと南仏らしくなります。ランチならこれだけで満点ですが、お夕食にいただくならお皿のサイズを小さくして、メインに小ぶのお肉でベスト。牛肉、豚肉でも鶏肉などなんでもOKですが、気分を変えて最近は手に入りやすくなったニュージーランド産のラム・チョップはいかがでしょう。お肉に付け合わせが欠かせないので、サラダ・ニソワーズに使うはずだった茹でジャガをこちらに回してください。夜ですから、グラス・ワインが欲しいですね。フランス産にこだわらず、チリやアルゼンチンなどのニューワールド系も美味しくなっているので、赤でも白でもその日の気分でご用意ください。あなたの食卓が、南仏の村や町のビストロに早変わり。この際ですから、フランス国内で、もう一箇所くらい作ってみましょうか。

メインにもなるサラダにこだわって、ペリゴール地方と呼ばれているスペイン寄りの大西洋岸から内陸に入った地域の砂肝のサラダを作りましょう。鶏の砂肝なら、全国どこでも入手できるお材料というのがいいですね。ご用意いただくのは、新鮮なほうれん草と砂肝、それとこの地方特産のクルミを散らしましょう。生なら空焼きしておいてください。ローストしてあるクルミでも、サラダに使うときは再加熱がおすすめ。砂肝を炒めるときは、オイル多めのフライパンに砂肝を入れたら蓋をして、ほっぽらかしておくのがカリカリに仕上げる秘訣です。オイルはオリーブでもキャノーラ油でもなんでもいいけれど、現地ではヒマワリ油が定番。砂肝をじっくり炒まった後半に、スライスしたニンニクとお塩をぱっぱ。そして最後に熱々のフライパンにお酢をジャーッと加えて蓋をして火から下ろしますが、ここでもすし酢が大活躍。ちょっとした甘さが隠し味になりますよ。お酢を入れる前に、換気扇のボタンを強にしておいてくださいね。ジャーッの音がしなくなったところで、フライパンから直に砂肝をほうれん草の上にかけてクルミを散らして完成。いかがでしたか、原人類、クロマニョン人の洞窟がある泰西名画のようなドルドーニュ川あたりの風景を想い浮かべて砂肝のサラダをモグモグなんて、なんと素敵でしょ。これを書いていて、あることに気づきました。私たちがしてきた旅は、お金では買えない人生でかけがえのない財産でした。だって、イマジネーションの宝庫ですもんね。