diary日 記 2021 / 03 / 15

地方の都市や町が元気なフランス

海外旅行は当分お預けですが、今日は「行くとしたら」を想定してお話しするのでご理解くださいね。フランスに行くときは羽田発の深夜便に決めているので、到着するシャルル・ド・ゴール空港は夜の延長の明けきらない朝。薄暗い出国ゲートを抜けて、タクシーで予約してあるホテルに急ぎます。パリ時代の住居はいつもセーヌ左岸、ゴブランやオデオン、サン・ジェルマンのあたりでした。たとえば『怪盗 アルセーヌ・ルパン』に彼が逃げ込んで姿を消したサン・シモン通りの箇所があったら、「ああ、あそこの中ほどにある、行き止まりの道の塀を乗り越えたのね」と、すぐ情景が浮かびます。ジャン・バルジャンが銀の燭台を盗んだ教会しかりで、左岸はお任せください。ですからなおさらパリ再訪の機会に滞在する場所は、あえて馴染みのない右岸を選ぶことにしてます。毎回、滞在期間は10日から2週間くらいですが、ずっと同じホテルに投宿。どんなに豪華なホテルでも、自分の部屋のベッドの寝心地には叶わないと思えば、名より実を取るのが私流。ひとり旅なら、ごく普通の三ツ星ホテルで十分。常時コンシェルジュがいて、お部屋が清潔で盗難の心配がないぎりぎりの線が三ツ星のような気がします。星というと、タイヤのミシュラン社から出ている赤表紙の分厚いガイドブックのレストラン評価で、三ツ星が最高のはずとお思いかもしれませんが、あれとはまったくべつものです。観光大国の沽券にかけて、設備やサービスの質など国家が保証するホテルの格付けに忖度なし。フランス観光開発機構と改称した公的機関の厳選な評価とはいえ、同じ三ツ星にもピンとキリがありますから、地図帳とにらめっこしてホテルをインターネット予約。航空券とホテルをセットで買った方がお得ですが、泊まりたい地域にこだわりたい私は別々に予約。ただ一点、往復の直行便だけは譲れません。パリ市内は小さいですから、右岸のほとんどの地域でプチ生活を満喫ずみ。マドレーヌ寺院の裏手もよかったですし、モンマルトル地区があんがい静かで気に入りました。サン・マルタン運河エリアの活気も、滞在してみて人気の理由がわかりました。

ホテルはほぼ寝るだけで、パリ滞在中の私の行動範囲は貪欲そのもの。一度の滞在中に日帰りで動ける地方の町を数か所めぐり、あとはパリ市内と近郊をチェック。仕事でファッション以外のすべてを網羅していたおかげで、取材で地方に詳しくなりました。かつて訪れた場所の、現在の姿を見ておきたい。地方の都市や町や村の再訪を義務化するほどストイックではありませんが、興味は尽きません。義務なんかではなく、地方が元気なフランスを見るのが面白くて仕方がないといった方がいいかもしれません。フランスの地方の町や村にシャッター通りという言葉は無縁ですし、行く先々の中小の都市の市街地を走るトラムは、あふれんばかりの若者たちで賑わってます。パリに戻るTGVの上り最終便に飛び乗り、窓の外の漆黒の世界とは裏腹に、見て来たばかりの光景が私の中で炸裂。このコロナ下ですから、フランスの地方でも都市部は緊急事態宣言下にありますから、今、若者たちも意気消沈。地方都市から実家に帰り、森の中をさまよっているかもね。今は仕方がないけど、明けない夜はありません。躍動感あふれるフランスの地方に行ける日を待ちましょう。それにしても、東京ばかりが目立つ日本という国、おかしくないですか?アレアレ、矛先がおかしな方に向いてごめんなさい。フランスの若者がパリを目指さないわけについては、追々ご説明しますね。それではみなさま、桜を眺めて上を向いて歩きましょう。