diary日 記 2020 / 12 / 01

DIYで生前供養

衣食住の全般で、今さら申し上げるまでもなく自分流が好きです。というか着る物にしても、勝手に太った自分の体形をごまかせるスカートがないから作る。上半身は既製品のセーターで似合うものがあったら通販でもデパートでも、分け隔てなく買います。2980円と28900円にクオリティーの差がないのは実証ずみ。お金を払うと同時に、お値段と買った場所を忘れる習慣がついてます。コートになると、なかなか難しいです。その代わり好きなコートに出会うと、着回しというのが苦手で、ずっとそればかり着てます。見かねた親友が、「コート、買って上げようか?」といってくれるんですが、今、着ているコートほどしっくりするものがないから断ります。食については、コロナ自粛でテイク・アウトがふえましたが、眺めるだけで買いません。デパ地価のお総菜コーナーは、料理本代わりに活用。以前、デパ地下で見て感心し、このページでもご紹介した〈いぶりがっこのポテサラ〉は人気だったようで、今では伊勢丹の高級割烹のお惣菜に仲間入り。お料理には著作権がありませんから、フードコーディネーターさんも大変ですよね。逸れた話を戻して、前世はペンキ屋だったにちがいないと信じている私ですが、今、住んでいる家は壁がクロスなので手に負えなさそう。それでもカーテンやクッション、ナプキンやテーブルクロスなどのファブリックは、旅先で気に入ったのがあると買ってちゃっちゃっとミシンで縫います。女優の中田喜子さんが女性誌でご披露していらした修理の手順を参考にして、布が擦り切れた椅子を好きな生地で張り替えました。そんなこんなでDo it yourself になじんでおりましたが、革製品の修理を昨日、3時間かかって完成。まるでバックの生前供養のようでした。

手提げの部分がヨレヨレになって、糸がほつれて芯がはみ出してしまっておりました。皮革製品の修理屋さんに相談いたしましたら、色は同じ黒のちがう革で大雑把に見積もって2万円。ものがプラダでしたから、デパートに行ったついでにショップ店員さんに聞きましたら少なくとも3万円3ヵ月とのことでした。今でこそ有名ブランドになっているプラダですが、30年前にパリで買ったときは単なるナイロンバッグでした。使いに使って、とうに原価償却はすんでおりますが3万円と聞いて、やっぱりと納得。数日、部屋の隅に置いて眺めておりましたら、このままほっぽらかすのがかわいそうになって、自分でできる範囲内で治してみたい気がしてきました。ちょうど手芸専門店のユザワヤに行く用事がございましたので、革用の縫い針と糸を探しました。すると修理用品コーナーがすぐ横にあり、私と同じことを考える方が多いようでうれしくなってしまいました。まず汚れを拭いて、目打ちでほつれた糸をていねいに外します。二枚の革に挟まれてボロボロになっていた芯を外し、両面テープで抑えてミシンかけ。途中で針が三本折れましたが、なんとか仕上がりとても爽快。次にこれがヨレヨレになるころはバッグ本体がくたびれて、使い物にならなくなっていることでしょう。治している間に買った場所ですとか入れて運んだものが次々に去来し、ふと生前供養という言葉に思いいたりました。DIYの魅力は、ものと自分の距離を縮める和み効果があるんですね。コロナ鬱になっている暇はありません。愛用品のお手入れに格好のチャンスですよ。