diary日 記 2020 / 11 / 15

煮ても焼いても、野菜が美味しい

世の中のステーキ人気をよそに、ますますお野菜の美味しさに開眼。ブランド野菜でなくても、ていねいに作られた日本の野菜が美味しい。動物タンパクも大切ですし、長寿社会の礎は肉食にありも否定しませんが、見かけに寄らず私は草食系。牛スネ肉の赤ワイン煮もノルマンディー地方料理のカーン風トリップ、羊肉のブラウンソース煮のナヴァラン・ダニョも作りますが、いただくのはお肉少々でお野菜たっぷり。「ヘエーッ、意外!!!」とみなさんに驚かれますが、肉や魚料理は作るのが面白い。なん種類もの魚介にサフランを利かせて作るブイヤベースや蒸し煮のポアレなど、お魚料理は短時間勝負ですが、フランスの地方料理は煮込みがほとんど。スキヤキやしゃぶしゃぶとちがって、じっくり煮込む料理がほとんどです。せっかく料理するなら作るなら、超のつく簡単なものか手間ヒマかける二者択一。中庸の精神も貴重ですが、一度かぎりの人生なら……といってはオーバーですが、つまり手抜きか丹精するかのどちらかにしてto be or not to be がいいかしら。といっても料理も簡単9割で凝るのは1割、手抜き自慢の凝り性な私。凝るといっても素人の私がすることですから、高が知れてます。前置きが長くなりましたが、本日はここでアッと驚く見栄えのいい簡単メニューをご紹介。電子レンジ機能しか使わずに眠っていらっしゃるオーブンを使って、たくさん食べてヘルシーでもちろん美味しく豪華な、ロースト・チキンのおもてなし料理に仕上げましょう。

パリ生活から足を洗って以来、久しく焼かなかったロースト・チキンを作ったきっかけは、近くのスーパーの軒先に出店した移動ロティスリーで買ったロースト・チキンでした。レストランやビストロ、お肉屋さんや豚肉加工専門店のシャルキュトリーとは別に、フランスにはお肉のローストが専門のロティスリーというのがありました。私たちのおばあちゃん世代には単独のお店があったそうですが、70年代に入ったころから市場のお肉屋さんの軒先に、丸鶏をぐるぐる回転させてこんがり焼く機械を併設しているケースが主流。とくに土日や休日のランチ用に、丸ごとチキンを買って帰るパリジャンにつられて、私もよく買いました。数週間前、久々にロティスリーに出会い、懐かしさ余って丸ごと一羽とポテトを即買いしたのがはじまりです。食べ終えて、「そうだ、ウチのオーブンでならほかのお野菜も一緒に焼ける」と思い立った次第です。主役の丸鶏は、行きつけのスーパーの精肉部に大きめを注文。形よくローストするために、ニンニクと多めのお塩を刷り込んだ丸鶏の両の手羽先をモモの内側にねじ込み、二本の足首を持ち上げてタコ糸でしっかり固定。天板の真ん中に丸鶏を置き、周りにジャガイモ、ニンジン、タマネギにカボチャ、ナスやピーマンなどのカット野菜をぎっしり並べて、220°で40分。途中で丸鶏に均等に火が入るように、チキンをひっくり返してタイマーが鳴るのを待つ間に、人数分の白い大皿、ナイフとフォークとワイン・グラスを並べましょう。取ってあるアマゾンの段ボールをうまくたたんで作った下敷きに熱々の天板を乗せて、テーブルの真ん中にドカンと置きましょう。チキンと野菜のジュージュー音と、テーブルを囲んだ方々の「ウワー!!!!」が聞こえます。オーブンをお持ちでなかったら大きなフライパンで、ぶつ切りの鶏肉とお野菜に蓋して中火。鶏肉だけひっくり返せばほぼ同じお味にできますよ。今回は食欲の秋の週末メニューでしたが、X’masにも使えますから、ぜひ、お試しください。