diary日 記 2020 / 08 / 15

9月新学期で「よく学び、よく遊べ」

ひところ話題になっていた9月新学期、あのまま終わってしまったんでしょうか。子供たちが夏休みに入ったからでもありますが、私はかぜん賛成を確信。というのも新年度の前なら、子供たちが夏休みに心置きなく遊べるじゃないですか。宿題もなければ課題図書も、自主製作の図工もない。学校のことは忘れて、自然に親しみ知らない世界を体験する。昔、一学期の終業式に担任の先生は、「夏休みはよく学び、よく遊べ」とおっしゃいました。ついでに、真っ黒になって戻って来いとも。余談ですが、日に焼けるタイプではない私は、新学期に日に焼けてないことを先生に叱られたことがありました。「勉強のできない子供だけ、塾に行かせればいい」とおっしゃった、日本人のノーベル化学賞受賞者がいらっしゃいましたが、正論だと思います。せっかくの夏休みに進学塾の夏期特集で過去問を頭に詰め込まれて、日本の将来はどうなっちゃうんでしょうか。「無理は通っても無理」、パリ時代に使い古した日めくりカレンダーの文言が甦ります。

なにかにつけて、メリハリが重要だと最近になって痛感。早食い競争の女王さまはべつとして、どんなに美味しいものでもお腹に詰め込み過ぎれば食傷気味になります。子供の身になってみたら、やいのやいのと勉強しろといわれ続けたら、やる気が萎えて当たり前。せっかくの夏休みに塾通いしている子供なんて、世界中にいませんよ。いえいえ、いました。台湾と韓国、中国の都市部の裕福な家庭の子弟は家庭教師付きでずっとお勉強だそうです。話が逸れましたが、子供たちにとって遊びは、勉強なみに大切。遊びながら子供は、いろいろなことを身に着けていくわけです。現実乖離の理想論なんて聴きたくないと、ページを閉じられてしまいそう。そこで次に、フランスの子供たちのバカンスについてお話ししましょう。今年はフランスはわが国よりひどいコロナ禍に見舞われましたが、通例のバカンスにはあまり影響が出ていないようです。子供の夏休みは、親のバカンス期間の約2倍。そこで親がバカンスに入るまでの、子供たちの過ごし方についてお話ししましょう。子供が夏休みに入るとすぐ、親たちは、わが子を自分たちどちらかの実家に送り届けます。といっても実家のご両親はすでにご高齢ですから、実際に面倒を見てくれるのは地元に残っている兄弟姉妹。子供たちは両親の里を交互に訪れ、親が育った田舎で従妹たちと一緒に山や川を駆けずりまわり、泥だらけになって遊びます。婚外子が多い実情を反映して、たとえば3人とも母親がちがう兄貴の子供たち、父親ちがいの姉貴の娘たちといった具合に、パリではつながりが薄い血縁が郷里で大集合。子供と孫たちが繰り広げる複合家族の現実を目の当たりにして、「あなた、時代が変わったのね」とほほ笑んで孫の頭数を数えるグランマがいます。子供を預けられる実家がない親の子供たちのために、パリ市が特別バカンスを企画。フランスの片田舎でボランティアの若者と子供たちが共同生活するといったように、だれもがバカンスを享受できる仕組みになっているのがフランスらしいですね。これはフランス礼賛ではなく、行政のちがいとして受け止めてくださいね。世界中から募られて集まるボランティアさんは、子供のフランス語の宿題は見てあげられませんからね。ほらね、9月新学期の方がまちがいなく国際基準ですよ。