diary日 記 2020 / 02 / 01

フランス人は並ばない

「行列ができるラーメン屋」とか「行列ができる法律相談」のことではありません。ある日、ウチに夕食に来ていた女の子たち、といってもみなさんいい大人ですが、彼女たちが喋っているのを聞いて、なるほどと納得。集まっていた中でいちばん小柄な女性が、「私、まええならえを一度もしたことがないんですよ、いつも先頭だったんで」といったことで一同大爆笑。つまり朝礼など生徒たちが校庭に出て並ぶとき、彼女はいつも最前列で腰に両手を当てていた。二番目の子供からは前の子の肩幅に合わせて、両手を伸ばして立つわけですね。いつも真ん前でイヤだったという彼女に、「私なんか、いつも一番うしろだったから、みんなについて行くことばっかりでイヤだった」と、身長が高い女性がポロリでまたもや爆笑。お箸が転がっても笑うお年頃はとうの昔のお姉さま方ですが、女性の笑い声って心和みますよね。この話には続きがございまして、次なる話題は名前の順です。苗字がAではじまる名前、Wではじまる名前で盛り上がり、Uではじまる方は毎回どっちかなとはらはらなさったとか。背の順で並ぶなんて、よくよく考えると変よね。背が急に伸びたら、順番が変わるの?とか、まええならえについては、列がぶつからないように先頭の子が腰に手を当てて列の間隔を保つetc.なるほどと思いながら、女子会ネタとしてはおとなしい部類の内容をこっそり聞く私。そのときでした、外国で生まれ育ち、大学生になってから東京生活がはじまったという女性が、一時帰国のときに体験入学した小学生のときに生まれてはじめて並んだときのびっくり体験の話で、居合わせただれもが「へえーっ!!!!」を連発。

そもそもフランスには、並ぶ習慣がありません。朝、生徒の出欠を取るときなど、アルファベット順に苗字が呼ばれることはもちろんありますが、子供たちは着席のままです。それ以外に子供たちが呼び合うときも、子供に声をかける先生から聞こえるのもファーストネーム。たとえば、近くの植物園に野外観測に行ったとして先生は、ぼんやりしている男の子に「ピエール、わかったの?」という具合で、三列に並んで歩くこともなければ、途中の点呼もなし。学校から「さあ、出発」という時点でも、並びません。教室から中庭に出て、「これからみんなでジャルダン・デ・プラント(植物園)に行きましょう」とおっしゃる担任の先生を中心に、クラスの子供たちが集まります。パリ市内にはプールがある学校などありませんから、プールに行くときも然り。水着とタオルを入れた、まちまちのスーパーのビニール袋をぶら下げた子供たちが、適当に続いて学校の近くの市営プールに向かいます。AdidasやNIKIのスポーツバッグもなければ、厚手ビニールのプールバッグもなしです。これについては、いいのを持っていると盗まれるという意見が大多数。取ったり取られたりのお話は別の機会にするとして、よくよく考えると決まりのないのが決まりかも。だとしたらなおさら、今回のストライキの結束力、すごいですよね。