diary日 記 2019 / 12 / 01

南仏旅行 Part2

先回に続いて、南仏旅行の話をお聞きください。今回の旅行は「巨匠たちのアトリエ巡り」が目的でしたから、ニースでシャガールとマチスを堪能。翌日はルノワールを訪ねて、カーニュ・シュル・メールまで電車を予定してましたが、国鉄がストライキで運行全面中止。バスを探して、午前中に「ルノワールのアトリエ」に到着。ここも四半世紀前とちがっていて、雑木林のようだった庭にオリーヴが茂り、佇まいも一新。午前中の閉館時間で町に出て、昼食に手頃なお店を探しているうちに隣り山のグリマルディ城まで歩いてました。同行のご夫妻は四国のお遍路さんで脚力を鍛えたそうで、私だけがはあはあ。昇った甲斐がありまして、とつぜん視界にローマ街道にあたる中世都市、鷹の巣村に数えられるグリマルディ城が出現。予想外の展開に気をよくした私たちは、さっそくビストロを見つけて乾杯。そこ一軒しか開いてなかったのですが、お味とサービスに大満足。気をよくした私たちは、ビストロのギャルソンご推薦のホテルを聞いて食後にチェックイン。個人旅行ならではの行き当たりばったりで、グリマルディで一泊。パリにはいそうにないおっとりした美女が、たったひとりでホテル番。「夜の8時以降は人がいなくなるから、出入りは裏口からね。お教えする4桁のコード番号を押すと、ドアが開きます。明日の朝、8時25分に町に下りる巡回バスがお城の脇に停まるから、それに乗るといいですよ」といわれて鍵を渡されて部屋に入りましたら、瓢箪から駒。シックな内装のプチ・ホテルに、ますますご機嫌。はからずも、シテ・ド・メディエヴァル(中世都市)が堪能できました。翌朝、定刻より15分遅れて来た巡回バスでカーニュ・シュル・メールの駅で降り、来るか来ないか半々の確率を覚悟で、アヴィニョン行きの列車を待つこと1時間でどうにか乗車。アヴィニョンは駅と中心地が離れているので、駅からタクシーで予約してあるホテルに直行。まずは近くの観光局に行き、プロヴァンス半日巡りの段取りを終えて法王庁へ。ミニトレインに乗って、半分流されたままになっている橋を眺めて市内観光です。

翌朝8時半、前日に観光局で予約してもらったドライバーの名前はブノワさん。8人乗りのベンツは新車で、私たち3人のはずでしたがアメリカ人女性が加わったので説明は英語。メネルブ→ルシヨン→ゴルドにラヴェンダーのないセナンク修道院を追加してもらい、午後のアルル行きも彼にお願い。アルルといえばゴッホで、精神を病んで入っていたサン・レミ・ド・プロヴァンスの病院にはじまって町中のキャフェetc.午前、午後とも完璧でした。ニースへの帰リ道、途中のエクス・アン・プロヴァンスの「セザンヌのアトリエ」がアトリエ巡りのラストです。晩年の彼が痛い脚を引き摺りながら通ったカフェのドゥ・ギャルソンの今が気になって、傘をさして行ってみましたら閉店。お店のドアの目立つところに、裁判所の差し押さえ通告の一文が貼られているではありませんか。「ええっ、意外。繁盛していたはずなのに」と思いながら駅に戻りましたら列車は不通。バスでニースにたどり着き、アート散歩に終止符。翌、最後の一日は地中海の光る海を眺めながら、「10年後、またこのメンバーで来たいネ!」が今回の旅行の締めくくりでした。