diary日 記 2019 / 04 / 01

テロじゃない、持たない者の権利だ

パリやフランス旅行をご計画の方、どうぞご安心ください。「黄色いベスト」の騒ぎは、テロ組織とは無関係。昔から職業的な運転手さんたちは自動車が故障した際、車外に出るときに蛍光色のこの色のベストを着用。2008年からは、着用が義務付けられたんです。昨年末、主にガソリン価格の値上げを不満としたマルセイユの運転手さんたちのデモが発端になり、最近にいたってます。それも燃料税の値上げが大きかったので、政権を揺るがす大事件に発展。「黄色いベスト」の人たちはデモ行進の日時を、事前に警察に申請しているので合法的。注意してTVの画面をご覧ください。それが証拠に、デモの隅に映っている警察官が手をこまねいて彼らを眺めている様子がわかります。ただ問題なのはデモに便乗して暴徒化し、治安部隊と衝突したり放火や略奪行為に走る輩がいること。わが国では陰が薄くなりましたが、フランスでは今も賃上要求のための労使交渉が行き詰まり、ゼネストに発展するケースがままあります。旅行で地方に行って、国鉄SNCFのストライキでパリに帰れなかったり、エール・フランスの客室乗務員や整備工の場合だったりで、パリ出発が23時間遅れなんてことも。一般市民も、ストライキは労働者の最期の抵抗手段だとわきまえているので文句をいいたくてもいえない。「オ・ラ・ラ!」を連発して我慢するわけです。ところが今回の「黄色いベスト」は、今までの労働者のデモとは根底からちがう。「黄色いベスト」のデモに参加している一人ひとりの心に、なん世代にもわたるフランス社会への生半可じゃない怨みがこもります。ガソリンの値上げの原因になった地球温暖化防止のパリ協定に参加するマクロン大統領に避難が集中してますが、彼一人の手に負える問題ではありません。フランス社会が抱えた闇の部分ともいえる、移民問題が一挙に表面化したので容易に鎮まらないことを国民は知ってます。

TVに映るデモ隊の面々をご覧になるとお判りでしょうが、彼らの多くは移民2世、3世どころか、フランスがアフリカ諸国を植民地化した時代にまでさかのぼる移民の子孫たち。旧植民地だった地域からの移民の、廉価な労働力に支えられてフランスとい国が成り立っていたことを国民は納得。ところが21世紀の現在、自分たち移民子孫の待遇が、かつての宗主国フランスの国民に劣る点に彼らの憤りが爆発。「さて、どうする!!!!」かといって、わが国の移民受け入れ問題と一緒にしないでくださいネ。英仏独などが植民地を拡大していた時代、わが国は鎖国をしていたのですから。