diary日 記 2019 / 02 / 01

薄くて甘酸っぱいリンゴのタルト

世界一美味しいものが、こんなにたくさんある国が日本以外にあるでしょうか? 「美味しい不味いは個人差でしょう」といわれようとも、私は絶対味覚を信じます。ていねいに作られた果物や野菜はその代表格で、マドレーヌ寺院裏手のフォションでもスカラ座近くのペックでも、特大のサンふじは売れる。慣れ親しんだものが美味しいとか、未知のものを口に入れる勇気が……ということになりますと、その昔、妹からアジミマンと呼ばれていたことがあったなと。どんなものでも、食べてみないと気がすまない。親友が飼っている猫の餌を味見して、叱られたことがあります。そのときに「自分が可愛がっている猫ちゃんが食べるご飯の味、知りたくないの?」と、反対に私がびっくり。五つ星と書かれた猫缶に、人間にとっての有害物質が入っているはずないですしね。件の五つ星のお味ですが、塩分を抜いたツナ缶といった感じでしょうか。もちろん、パリのドッグフーズも体験ずみ。結論から申しますと、ペットフードについては、わが国のが一番とはいえません。しょっぱなから、話しが飛んでごめんなさい。これから、みなさんと美味しくて恰好いい、リンゴの極薄タルトを作りましょう。ご用意いただくのは、どこにでも売っている冷凍パイ生地とリンゴ。欲をいえば、粉糖が少しあるとうれしいです。このベージをご覧のかたなら通販もおできでしょうから、冷凍パイ生地と粉糖ぐらい買っておいてくださいな。パイ生地のメーカーは、まったく問いません。

「なになに、オーブンがない?」、だとしてもオーブン・トースターはお持ちですよね。さあ、はじめましょう。オーブン・トースターのかたのために、四角い冷凍パイ生地を半分にカットして、長方形のパイ生地を素焼きしてください。これについては両派あり、生の生地に直接、この場合ですとリンゴをのせて焼く派と素焼き派にわかれます。私は後者ですが、フランス人に前者が多く、粉とバターのしっとり感がたまらないとか。私流で話しを進めまして、パイ生地をオーブン・トースターに入れたら、リンゴをスライスして塩水をくゆらせておいてください。じきにパイ生地が焼けたお知らせタイマーが鳴りますから、取り出してその上に規則正しくリンゴを並べて再加熱。生地を焼いたときよりも低温長時間にタイマーを設定。やがて「チーン!」で、手作り感があってプロっぽいリンゴのタルトのできあがり。熱々でも冷たくても温くても、薄いリンゴのタルトはパーフェクト。召し上がる直前に、100円ショップの茶こしを通した粉糖をさらさら。あんまり簡単だったので、ついでにもっと簡単なお菓子を一品。半分残った冷凍パイ生地を短冊にカットして、グラニュー糖をまぶして焼きましょう。「カンタン・カンタンといっちゃダメよ」とよく諭されますが、これは簡単という以外に言葉がありません。「中年老い易く……」ですから、今年も拙速でいきましょう。