diary日 記 2017 / 10 / 01

朝型の若者と夜型の年寄りのススメ

なぜ、みなさん、年を取ると朝型人間になるのかしら? 夜型の私には、それが不思議でなりません。会社に行かなくていいのに、なぜ、早く起きるのかしら? 延長までした定年を全うし、コツコツ働いたのですから、朝寝をしてもだれからも叱られないのに。もっとノンビリなさればいいのに、みんなしてジムに通って疲れて、曼殊沙華を探して早朝から電車に乗って山マダム、山ムッシュがふえて、以前にもまして忙しそう。毎朝、ゴルフに行くみたいに早朝に起きたら、せっかくの秋の夜長が満喫できなくて、もったいないじゃないですか。それに、これからはツンドクの呪縛から解かれて、読書三昧の日々を送れると思うとワクワクしませんか? 読みはじめた本のページを開いたまま、起きる時間から逆算してしぶしぶ布団にもぐりこんだ日々を思い出して、一番鳥が鳴くまで読書できる幸せに浸りましょう。スタンダールもカミュも読み放題、若いころから憧れていた気ままな人生のはじまりです。団塊世代が一斉に本を読んだら、図書館でもブック・オフでもアマゾンでも本の入手経路はなんであれ、不況にあえぐ出版界が生き返る。新国立や都の美術館に泰西名画を拝観するために長蛇の列に並んで実物の絵画の前に2、3分いたからといって、いまさら私たちの脳は活性化しませんよ。人の数に気圧されて、家に帰ったら40分待ったという達成感と疲労感しか残らないのではありませんか。それにくらべたら、『赤と黒』のジュリアン・ソレルが処刑目前に語る、崇高な居直りのなんと研ぎ澄まされていることでしょう。CD10枚セットで、ダダみたいなお値段の往年のハリウッド映画を、ソファーに寝転がって鑑賞しましょう。長いこと気になったまま見損なっていた『心の旅路』を親友が買ったので、彼女の応接間のソファーに寝転がってふたりで観たら、最高にできのいい究極のメロドラマでした。自宅での映画鑑賞は昼間ではなく、あたりが暗くなるまで待ってからにしましょう。

先週、政府の広告がフリーター差別だと指摘されて、ツイッターで炎上してましたよね。ご覧になった方も多いかと思いますが、アニメに描かれているフリーターの日常は当たり前すぎて、大騒ぎする方がおかしいくらいでした。アルバイトはあっても派遣なし、学校を出たら会社に勤めてこそ社会人と信じて疑わなかった私たち世代が、自分のかわいい子供に、定職につかない道を選ばせる無知に呆れます。子供は親の言うことなんて聞かないものですが、反面教師の四文字の説得力は強いです。元祖フリーターの私の娘など、幼いころからサラリーマンになると言い張ってましたもんね。劇団主の友人が最近、こんなことをこぼしてましたっけ。「入団希望者が高学歴ばかりで、困っちゃうよ。昔は役者になりたいと言ったら親に勘当されたのにさ、親が一緒に来て息子をヨロシクなんだから」ですって。若者のみなさん、フリーターになるなら世の中の順番を守って、勤め人をしてからにしましょう。おっしゃらないだけで、アナタのお父上あたりはイヤな思い以上に、フリーターでは知り得ない面白い経験をたくさんしているんですよ。あれあれ、今日は説教オバサンになっちゃった。次回は美味しい秋をご用意しますね。