diary日 記 2016 / 09 / 01

「 パスタを食べて募金活動 」

イタリア中部地震の被災地募金が、ネット上で炎上。アマトリチャーナというトマトベースのパスタをお店で食べることで、募金できるシステムが話題です。そのパスタ発祥の地であるアマトリーチェ村の復興基金というわけで、パスタを食べたお客さんが1ユーロ、お店側が1ユーロを拠出。1ユーロは約130円ですから、面倒な手続きナシで募金活動に参加できていいですよね。東北地震や熊本地震もさかのぼって、世界的とまではいかなくても国内で、募金の仕切り直しができそうな気がします。まずは明日にでも、イタリアで修行を積んだシェフに、正真正銘のアマトリチャーナを作ってもらって食べて、募金ができる都内のイタリアンに出向こうと思います。領収書は、消費税は、送金口座はなどとついつい募金ルートが気になりますが、チャリティーの趣旨はつまり気は心。教会の入口で立っている人が持ている箱に、通りかかった人が「チャリン」、たまには10ユーロ紙幣のこともあります。富めるものは貧しきものに、困っている人に施す気持ちが人類愛。大雑把でいいんです。パリで通ったピザ屋さんでもそうでした。ナポリ出身のオーナーと同胞のご常連が、すさまじい勢いのイタリア語で、いつも盛り上がってましたっけ。お支払いにクレジットカードも使えましたが、安いピザ屋さんではむしろ野暮。「お釣りはいらない、ボンジョールノ!」でした。アマトリチャーナ募金の、文句なしの成功を願いましょう。

募金といえば、パリ時代にこんなことがありました。TVのニュース番組で、ボスニア紛争への物的支援を呼びかけていたときのことです。仔細は最寄りの郵便局とあったので、さっそく窓口に行ってみました。すると顔なじみのおばちゃんが、いつもより愛嬌たっぷりに私にこう言ったのでした。「あなたが一番乗りよ。このプリントに書いてある食品を、この黄色い箱に詰めて持ってくるのよ」と。食品リストには小麦粉1キロ、お砂糖1キロ、パスタ1キロ、コンデンスミルク1缶、マルセイユ石鹸1個とあり、箱にスペースがあったら縫いぐるみを入れても可とありました。書かれてあった食品を買いそろえて、もらった郵便局の黄色い箱を組み立てて詰めたら、なんとどんぴしゃり。翌々日のニュースを観て、「なるほど」と私は感嘆。機動隊の大型トラックで到着した黄色い箱を笑顔の隊員が、列に並んだ子供たちにひと箱ずつ手渡しているではありませんか。まぎれもなくそれは、幸せの黄色い箱でした。