diary日 記 2016 / 02 / 15

「 Nothing comes from nothing 」

年上の仲良しマダムが、シャンソンの発表会をなさいました。お教室の発表会なら、子供が習っている音楽教室などもありますが、今回の主催者は彼女とご主人さま。ごく近しい方々に、ご自分の歌うシャンソンを聴いていただきたいというマダムの願望に、ご主人さまが協力。ここまで申しますと、どこにでもあるお話のようですが、ちがいました。熱唱するマダムの姿に、素直にひれ伏す自分に私が驚きました。おかげさまで長く続いているこの頁で、私が参加したイベントについて書くのは、実は今回がはじめてなんです。ブログではないんだからといった、そこに私の意固地な思いがあったからです。ですから、今日はとくべつ。「80歳になった記念のコンサートなのよ」というお誘いを受けて伺い、早い話が瓢箪から駒、または目ウロコ。“ 歌は上手い、下手じゃないんだ ”を痛感し、全身全霊を込めて歌ったマダムの迫力に私は図らずもノックダウン。

おしゃれなアート・ギャラリーに簡単な音響設備をつけて、シャンソン界で知られたピアニストさんがキーボードで伴奏。マダムが四半世紀にわたり師事していらっしゃる、これまたシャンソン界の大御所の美貌の先生もご参加。マダムのお仲間も数曲お歌いになりました。にわか仕立てのステージに向かって並んだ30脚ほどの椅子が、私たちの客席。開会のご挨拶がまたかわいらしくて、10歳ぐらいのお孫さんでした。意外だったのはご主人さまで、幹事役に慣れておられるはずの方が、かなり緊張しておられたのを微笑ましく拝見。選曲は私の大すきなバルバラで、やはり日本人は日本語がいいなと。休憩やトークを交えての約2時間半、この発表会のどこが私をここまで感動させたのかに私はひたすらこだわりました。そして口を突いて出た言葉が、Nothing comes from nothing。「無からはなにも生まれない」という哲学的なフレーズですが、私がそれを知ったのは映画の『サウンド・オブ・ミュージック』でした。おたがいの恋心に気がついたトラップ少佐とマリアがデュエットで歌う、「Something good」の一節にあるNothing comes from nothingに深い意味があることなど、幼い私に知るよしもございません。そういえば、Climb every mountainもよかったですし、後に天才コルトレーンが変曲したMy favorite thingsしかりで、『サウンド・オブ・ミュージック』って、すごいんですね。あれあれ、いつもの調子で逸れた話を戻しましょう。さあ、みなさん、失敗を恐れないで、おっちょこちょいしましょうよ。