diary日 記 2016 / 02 / 01

「仏版ホット・ドッグを知ってますか ?」

なんだか近ごろの私、追憶の日々をさまよってます。そう、「家の光」さんの撮影のために、家じゅうの雑貨を並べたのをきっかけに、ノスタルジー全開。あらゆるジャンルのパリ記憶がゆらゆらと、サティーのBGMで脳裏に浮かびます。おかげで長らく忘れていた、美味しかったものも思い出しました。そのひとつに、仏版ホット・ドッグがございます。昔のフランス人は「ル・シアン・ショー」といっておりましたが、今は人々に英語が浸透しているので、「オッ・ドッ」。フランス語でHを発音しないので、彼らはホットといえません。先のシアンは、仏語で犬のこと。ショーが熱いなので、ホット・ドッグになります。通常のホット・ドック用のパンは、柔らかくて長細いコッペパン系であるのに対し、仏版のパンはバゲットにこだわります。それと、普通のホット・ドッグのようにコッペパンを縦に割って、ソーセージやキャベツ炒めを挟むのではなくて、レシピはまったく別。それでは、仏版ホット・ドッグの作り方をご紹介しましょう。

そうそう、拙著になんどか書いている、パン・オ・ショコラならぬ、バゲット・オ・ショコラを思い出してくださった方もおいででしょう。ご用意いただくのはバゲットと、フランクフルトのように長いソーセージと、瓶入りではなくプラスチック容器に入ったケチャップとマスタード。それと欠かせないのが菜箸で、それもたった一本だけ。ソーセージはバゲットの長さ分あれば、フランクフルトでなくても、ウィンナーをつづけて2本にしてもOKです。そのときソーセージは、電子レンジで熱々にしておいてくださいね。なにしろ作るのは、ホット・ドッグなのですから。ナイフも包丁も使わないわけが、この後にわかりますよ。まずバゲットにお箸を通し、穴を広げてソーセージがすんなり通るようにしてください。中に穴ができたバゲットを縦に持ち、ケチャップとマスタードをチュゥーと多目に穴に注入。そこに熱々のソーセージを押しこんでください。パンがバゲットになったので、アメリカ生まれのホット・ドッグとはちがった大人の食感。飲み物はマグカップのコーヒーではなく、やはり赤ワインでしょうか。えっ、どこでコレを知ったかって?これは、パン屋さんの店先にはありません。シャルキュトリーといって、どんな町や村にも必ずある豚肉加工品店で売られております。大人が作る2分間キュイジーヌをみなさん、ぜひ、お試しください。