寄せ鍋ブイヤベース

2015/1/15 

スーパーの鮮魚売り場を歩いていて、思いはたちまちプロヴァンスに飛びました。以前、どこかで書いたことがございますが、今回はラストが微妙にちがいますからお読みください。その前に忘れないうちに、お詫びがございます。今年はじめてのこの頁で、パリの蚤の市より蚤の市らしい自宅に出現した雑貨コーナーの写真をご紹介するお約束が、果たせませんでした。二台あるデジカメが二台とも、GSから自宅に運んだ段ボールのどこかにあるはずなのに、見つかりません。「清水の音羽の滝と聞くからに、失せたる宝なきぞ悲しき」となんど唱えても、まったく効き目なし。次回の更新まで待ってくださいね。というわけで、またスーパーの鮮魚コーナーに戻ります。

「あら、こんなに安くて簡単にブイヤベースが作れるなんて!」と、手を叩いて喜んでいるあなたのお姿が想像できます。498円の寄せ鍋セットで、二人分はゆうゆう。ほかにご用意いただくのはオリーブ油と、皮をむいて茹でたジャガイモ。底が深いフライパンかお鍋を強火にかけて、多目のオリーブ油を入れてください。次が肝心で、セットになっているお魚を、エビやカニの甲殻類、イカかタコ、鱈か鯛などの順に入れ、お湯をばさっと注いだら貝を入れてぐつぐつ煮たったら貝を入れて、火を止めてください。セットはだいたい二人前なので、魚介の全種類があんばいよく二等分できるはずです。ぐつぐつと申しましたが、ブイヤベースは煮込み料理ではありません。寄せ鍋と同じで、お魚を美味しくいただくために煮すぎは禁物。どくとくな香りと発色の、サフランがあればお使いください。でも、なくても高価なサフランは買わなくて大丈夫。オリーブ油の黄色味とエビの赤さで、文句なしのブイヤベースに仕上がります。それでも気になる方は、パプリカの赤い粉を一振りしておいてください。バゲットの代わりに、保温になっているご飯を残ったスープに入れて、わが国ならではのブイヤベースのお雑炊も格別です。ブイヤベースを寄せ鍋式に土鍋で作り、残ったスープにご飯を足して、蓋しておこげになったら最高。土鍋ブイヤベースに感動するフランス人の顔が、ぜひ見たい。卓上で繰り広げられるお鍋料理って、そのままジャポネスクですもんね。