作ってくださいマドレーヌ

2014/12/1 

「ここのマドレーヌが食べられなくなると思うと、寂しい」とおっしゃってくださった、お客さまの顔を思い浮かべていて、はたと思い出したことがございます。GSをはじめる以前の私が作っていた、マドレーヌの種明かしを今日はいたしましょう。その前にGSのマドレーヌはたしかに正統で、フランスの職業訓練校のれっきとしたレシピに則って作りました。陳列棚に並べるからには、正真正銘なマドレーヌでなければいけません。そしてGS以前の私が作っていたそれは、正直に申しますとお菓子を作った余りものでした。たとえば略してQQと呼んでいる、卵とお砂糖とバターと小麦粉の四種類のお材料を同量で、こんがり焼いたフランス版パウンドケーキのカトル・カールを作って、ケーキ型に入り切らなかった生地の残りで作っておりました。それではここで、QQの副産物ともいえるマドレーヌの作り方をご披露しましょう。一回で二度おいしい、これもまたおへそぽっこりのマドレーヌです。

ご用意いただくのは上述した、お菓子作りの4大材料と私が決めた卵とお砂糖とバターと小麦粉とBPこと、ベーキングパウダー少々。そうそう、どうしても必要なのがマドレーヌ型です。カトル・カールの生地を流し込んだケーキ型をオーブンに入れてから作るマドレーヌは、おまけ気分たっぷりの余裕のお味。ボールの底に残った生地に、冷蔵庫の野菜庫に眠っているレモンの皮を擦って加えるだけです。本来はハチミツを入れて、溶かしバターを最後に入れるわけですが、本格的なプロセスはヌキでいきましょう。マドレーヌ型にバターかショートニングを薄く塗って、その上から小麦粉を茶漉しに通してさーらさら。マドレーヌ型を逆さまにして余分な粉をはたいて、レモンの香りたっぷりな生地をスプーンですくって型にとろっとろり。なにしろ余った生地ですから、残り物には福がある。気がつけばお菓子が焼き上がる優しい空気にレモンが加わり、お部屋が幸福感で満たされます。レモンの皮のすりおろしを入れただけでマドレーヌに変身では手抜きもいいところですが、これぞシンプルが信条の焼き菓子の極意。やっぱり私のお菓子は売って人さまからお代をいただくよりも、作って差し上げる方がいいみたい(笑)。それではみなさま、今年の]masにはぜひ、内緒のマドレーヌをお試しくださいな。