日本人は淡白質

2013/5/1 

『王妃マルゴ』のDVDを観ました。アレクサンドル・デュマがすきな私のために親友が、GSにDVDを持ってきてくださったのです。1994年にフランスで上映された初日に映画館に行きましたが、フランス語だったので今回の日本語字幕のおかげで完璧。舞台はパリで、ルーヴル美術館内などが、惜しげもなくロケ場所として提供されてます。イザベル・アジャーニ扮する主人公のマルゴは、ヴァロア朝生粋のお姫さま。メディチ家からフランス王アンリ2世に嫁いできたカトリーヌは娘のマルゴと、後にフランス王になるアンリ4世を政略結婚させます。めちゃ美しいアジャーニがマスクで顔を隠し、スラム化したパリの町に、夜な夜な男漁りに出かける奔放な役を体当たりで熱演。マルゴは後のフランス王になる、アンリ4世と政略結婚。マルゴとアンリ4世の結婚式の鐘を合図に、婚礼に集まった新教徒のユグノーたちを大虐殺。歴史に残るサン・バルテルミーの虐殺というのがそれです。ふたりの夫婦関係こそ乾いたものでしたが、マルゴはアンリ4世の君主としての力量に気づいてました。アンリ4世も、彼女の懇願で新教徒からカトリックに改宗。セックス・シーンの多さに、今さらながら辟易。なんでもありな点もすごいですが、場面の血生臭いことといったら、きっと原作者のアレクサンドル・デュマも驚いていることでしょう。肉食系フランス人を再確認すると同時に、私たち日本人はやっぱり淡白質だと納得。20年前、パリの映画館で観たときは感じなかったのに、歳のせいかしら(笑)。

『怪盗ルパン』もそうでしたが、『居酒屋』とか『王妃マルゴ』などの世界に迷いこんでしまったら最後、困ったことに、そこからなかなか抜け出せません。たとえば、ルパンが追手をまいた場所の細部が気になって仕方がないのです。そして、なにがどう面白いのかが、最近になってようやくわかってきました。古典でも現代ものでも、DVDでも小説でも私は、小説や映像になったストーリーを借りて、舞台になっているパリの町をさまよい歩いているということが。サン・バルテルミーの大虐殺の合図は、サン・ジェルマン・ログセロワ教会の鐘の音でした。その教会の神父さまが、角のカフェによくいらしてましたっけ。さて今年はいつ、パリに行こうかな?