自分に正直な人

2013/1/15 

「元気な人」とそうでない人のちがいって、いったいなんなのかしら。「いつも元気ですね」と言われ続けている私は年のはじめにこの場をお借りして、元気の究明に取り組もうと思います。せっかくの人生ですから、おおらかに好きなように、勝手に生きたいですもんね。

ご年配の方ですと、お肉でもお野菜でもなんでも、よく召し上がる方は圧倒的にお元気です。食が細くても健康な方はおられますが、健啖家はますますお元気。腹八分なんてどこ吹く風で、今日はフレンチ、明日はイタリアンとヨコ飯をぱくつく諸先輩のお顔が目に浮かびます。そして彼らのだれもが、ご自身に正直でいらっしゃることに、はたと気づきました。つまり自分に正直に生きることが、究極の元気のもと。ここで正直と申しましたのはよくいう正直者、つまり世間でいう実直な人間性を意味しているわけではございません。むしろ反対で、正直すぎる直球が嫌味だったり、おお癖ありだったり、はたまた傍若無人な振る舞いが目立ったりで、無くて七癖の言葉どおりさまざな人格が私の感性を刺激。ちなみに無くて七癖のあとに、「あって四十八癖」の下の句がございます。

あなたのまわりにズボラで適当で、ちゃらんぽらんで、どうしょうもない人がいませんか? その手の方が男性で、往々にして私たち女性が彼らの気ままの被害者だったりするわけです。ところがどうして私たちが被害者だなんて、まっかな誤解。ズボラさんを一匹のモルモットに仕立てて、とくと人間観察といきましょう。ズボラで適当を欠点にしないで、個性だとみなしましょう。ただし相手によってズボラが真面目になったりしたら、その場で抹殺。だれに対しても一貫して、ズボラで適当でいてこその個性です。権威にへつらうゴマすりさんには、ペコペコを徹底してもらいましょう。その点でユゴーとバルザックは人間観察の超大家。鬼平で東京人のお人好しを平和に読むのもいいけれど、元気になりたかったらバルザックのワルがおすすめ。登場人物の癖にはまって読むほどに、フランス料理でワインがほしくなりますよ。