中国産の食品がこなくなったら

2012/10/1 

このところ私の頭の中で、「風が吹けば桶屋」的な思考回路が活性化しております。その発端は、このたびのパリ旅行中にカフェで食したクロク・マダムのお値段でした。クロク・マダムだけでなく、フランスでいただいた食べ物のどれもが美味しく感じられたのでした。パリで暮らしていた当時、よく通った中華屋さんで食べた海老入りワンタンメンまで美味に感じられたほどです。そして東京に戻ってひと段落して、旅行関係の資料や支払った金額が残るレシートの束を整理していて、「風が吹けば……」が、がぜん現実味をおびてまいりました。ユーロで記されたレシートの金額を円換算してみましたら、なんのことはございません。美味しいはずです、お値段もそれなりですから。もちろん逆は真ならずで、高ければ美味しいわけではございませんが、堂々めぐりの果てに尖閣諸島の問題に帰結したのでした。

レストランやカフェなどの外食代は、美味しければ高くても納得です。お客は自分のお財布と相談するだけで、店サイドが安かろう不味かろうになってどうします。そんな風がすうっと吹いて、こんな結論がでました。中国産の食品輸入が途絶えたら、私たち日本人の食生活が改善されるにちがいないと。大型の居酒屋チェーン店は、大ダメージを受けるでしょうね。なにしろ価格競争が激しい外食産業は、その食材のほとんどを中国産に頼っているわけですから。コンビニで買ってきて家で食べる中食(なかしょく)にしても、すべてとは申しませんが、安さの内訳は中国産の食材に負うところ大です。一方で食事のしたくのためにお材料を調達しに訪れる、スーパーの生鮮食材コーナーからじょじょに中国産が姿を消しております。国内の生鮮食材を使って調理し、でき上がったお惣菜の原価を足し算すると相当額になりますね。そこでいつの間にか、「作るより安い」の言葉が大手を振って歩きだしてしまった。ところがここにきて、その合言葉にブレーキがかかりそうな雲行きです。「作るより安い」を支えていた、中国産の食材が入ってこないのですもの。中国がだめならブラジルがあるさ、ベトナムがあるさになるかもしれませんが、それはそれとして、「作って食べよ!」の日が来そうで楽しみです。わが国もパリなみに、外食価格がもっと高くなって、外食、中食(なかしょく)が難しくなればおウチご飯の復権です。ご飯を炊いてお野菜を茹でて、納豆と焼き魚の食卓に戻りましょう。40年前とちがって、ボク作る人、わたし食べる人もありですよ。頑張っている居酒屋さん、ごめんなさいね。