フランスで本が売れる理由

2012/4/15 

先ごろ、パリの見本市会場で<サロン・デュ・リーブル>が開催されました。ブックフェアーですが、フランクフルトやボローニャのフェアが書籍関係者向けなのにたいしてパリのそれは、本ずきたちの格好な遊び場といった感じです。パリに住んでいたころは私も、毎年かならず会場に日参。ガリマールとかフラマリオンといった大手出版社の一押し書籍の展示即売も魅力でしたが、なんといっても作家さんからじかにサインがいただけるのが楽しみでした。もちろん、・・・残念ながら今回、私は行きませんでした。親友で出版社の社長をしているT氏が現地にいらしたこともあり、新聞や雑誌で関連記事をチェックしていて、こんな見出しに出会いました。なんと「本が売れてるフランス」とあるではありませんか。ちなみに、読売の4月11日付でした。

読書人のひとりとして私も、出版界の不況を切実に感じてます。つまらない本が書店に並びすぎると思うのは、たぶん私だけではないはず。そんな矢先に件の記事で、日仏の返本率のちがいを知ったものですから驚きました。年間の新刊点数は日本が8万点でフランスが7万点だそうですが、フランス語の本を読む人たちの数が日本語の比ではないことを思えば、著者としてちょっと複雑な心境。もし私がフランス人だったら、著述業は無理だったかも。なぜかというと、フランス語圏で7万点という数字は、出版社が本の質を厳選している証拠です。案の定、書籍の返品率が大幅にちがいます。もちろんわが国が40%と高く、フランスは25%。ここで、私の自慢してもいいですか? 返品率といえばありがたいことに、拙著は返品率がものすごく低いんですよ。自慢の後だけに、今的に興味深い数字をお聞かせします。フランスの消費税が19.6%だということは、先回お話しましたが、本と電子書籍が7%だということを、この記事で知りました。雑誌は2.1%ですって、すごいですね。これはフランスが国を挙げて、本を守る姿勢の表れ意外のなにものでもありません。野田総理、お忙しいでしょうが本をお願いします。食品と書籍の税率を、せめてフランス並みにしてくださいな。