本格的なクロク・ムッシュ

2012/2/15 

まちがいなく美味しい、クロク・ムッシュのお話をしましよう。チーズとハムを挟んだ食パンにチーズをのせてオーブンの上火でこんがり焼いたクロク・ムッシュは、サンドイッチ以上でステーキ未満。1910年ごろにパリのオペラ座近くのカフェで生まれたそれは、熱々が信条のカフェの定番メニューです。ところがこれが曲者で、本場パリでもこれぞというクロク・ムッシュにはまず出会えません。パン自体が美味しいバゲットのサンドイッチにくらべて、買い置きの硬くなった食パンで作るのですから分がありません。そこで思い立ったのが、今日、ここでご紹介する本格クロク・ムッシュ。完成度の高い日本の食パンを使えば、さぞや美味しいクロク・ムッシュができるはず。試作と試食をくりかえし、このたびようやく完成しました。今週からGSのメニューに登場したそれは、こんがりチーズに卵の黄身がとろりとからまる絶品。パリっ子も驚くクロク・ムッシュの作り方を、ここで実演してみましょう。そのまえにクロク・ムッシュと申しましたが、正確にはクロク・マダム。ムッシュに卵をのせて、マダムに昇格というわけです。

ご用意いただくのは、スーパーでふつうに売られている食パン。6枚切りでもOKですが、ボリュームがありすぎるので8枚切りがおすすめ。ほかにグリエール・チーズとハム1枚、卵とサラダオイル少々。ご家庭用のオーブン・トースターなら、一度に二人分できます。コツといえば、食パンを二枚重ねてオーブン・トースターで焼くことでしょうか。焼けたら取り出して、きつね色した面にチーズとハムとチーズをのせて、もう一枚の食パンのやはりきつね色した面を内側にして重ねてください。チーズとハムとチーズを挟んだサンドイッチの外側が、ふんわり白いままのはずです。そこにレアな目玉焼きをのせ、チーズをかけて再びオーブン・トースターでこんがり焼いてできあがり。チーズと一緒にベシャメルソースもありですが、私はチーズだけがすき。ワインを抜いてレタスをそえれば、立派なディナーになりますよ。ぜひ、本格的なパリのお味にトライしてみてくださいね。