フロマージュ王国 2011/6/1 

今週はフロマージュにご縁のある一週間でした。CNIELというフランスの乳製品経済団体の広報が、フル取材をしてくださったのが火曜日。毎月の第四土曜日、17:00〜からGSでお集まりのChocolatを主催しているボブさんがご用意なさった、フランス直輸入のチーズをお持ちになりました。チーズ派にしか通じませんが、取材用に私がご推薦したのは、パリっ子が一番好きな白カビの<ブリ>とタイヤのミッシュランで知られるオーヴェルニュ地方の<ブルー>と山岳地方の硬質チーズを代表する<コンテ>の三種類の牛乳チーズです。そしてボブさんがご用意なさったのは、人気の<カマンベール>と山羊乳のすぐれもの<ピコドン>。それでは今日は、現代フランスのチーズ事情についてお話ししましょう。

フランス人にとってのチーズは、食の象徴そのものです。チーズのない食卓は、ひと昔まえの彼らには、考えられませんでした。あえて過去形にしたのは、最近の彼らはチーズをいつも食べるとはかぎらないからです。かといって、チーズの消費量が減っているわけではなく、少しずつですがふえていて相変わらず消費量は世界のトップ水準。チーズを毎日、かかさず食べるのではなく、食べるときは奮発する。たとえば週末やお友達を招いてのディナーのしめくくりのチーズは、なん種類も専門店で買います。ワインとおなじでチーズも、楽しみの要素がくわわったわけです。ちなみにワイン消費量は大幅減ですが、AOCといって中級以上のワインが飲まれるようになりました。やはりワインとチーズとパンの、フランスの食を支える三つ巴の関係は不滅です。わが国でイタリア産やフランス産のチーズを買えば、高いのはあたりまえ。産地から冷蔵か冷凍で空輸ですから、輸送コストと熟成の場所代がかかります。直輸入チーズは付加価値を食べているのですから、それだけで優雅な気分になれますよ。ここではフランス産のチーズについて書きましたが、国産チーズの品質がめざましく向上してます。これについても、日本のワインと足並みをそろえているわけです。それでは次回は、パンについてお話ししましょう。