おかしなおかしなフランス人 2011/5/1 

連休の海外渡航者が大幅減だそうですが、私のまわりにフランス旅行に行かれる方がいつになくたくさんいらっしゃいます。みなさん旅行期間を連休の前後に少しずつずらしておいでなので、カウントされないのでしようか。だとしたら、数字的には落ちていないかもしれません。五月のパリは町じゅうがわあっと沸きかえり、人々の上気した顔が面白いかも。被災地を思えば外国旅行どころではないだろうとお感じの方もおられましょうが、心の傷の自然治癒力とお考えください。ピンクと白のマロニエが咲き誇り、虹色に輝く噴水が天空めがけてせり上がる。公園に人がくりだし、アイスクリーム売りの屋台に大人たちまでが群らがります。「イル・フェ・トレ・ショー」、すごく暑いといいながら、団扇がわりに手のひらをぱたぱた動かす彼らの姿が目に浮かびます。それにしてもフランス人って、そろいもそろってなんとオーバーな人たちでしょう。

地震と無縁のお国柄とはいえ、今回の地震のひと揺れで東京在住のフランス人がいち早く帰国したのをご存じですか。各国の在日大使館の多くが関東以北にいる自国民に、退去勧告を出したわけですが、とくにフランス人の逃げ方がめちゃ速かった。フランス人の集中地区になっている神楽坂に住んでいてこそ目にした光景とはいえ、大地震と原子力の脅威に慌てふためいて即刻帰国した彼らのようすが、ひとしきりご近所で話題になったものです。もちろん今は彼らも平常心を取り戻し、あの時の恐怖心を私に笑いながら話します。そして彼らのだれもがフランスから東京に発つまえにご両親や親友に、「お願いだから、日本に戻らないでくれ」と泣きつかれたことも。

各国マスメディアの、逆境に黙々と耐える被災地の人々を讃える記事がたくさん報道されましたが、たしかに私たちの、じゃなくて日本人は控え目ですよね。もっと怒ってもいいし、人前で泣いてもいい。そうすれば、もっと愛せて、もっと喜べるかもしれません。そうですよ、そのためには相手がいる。だれのための涙と笑顔かを、これからの半生?で真剣に考えたいと思いました。