やっぱり人間が面白い 2010/01/01 

私たちにとって、「人」以上に面白い存在はないのでは? お金も名誉も、主人公は人ですもんね。そこで今年は、目いっぱい人にこだわりたいと思います。この世に生をうけた私たちが日々どんな暮らしをし、いかに生きるか。ベターを模索しながら、親兄弟や仲間たちと交流を深めて、喜怒哀楽をわかちあう。とくべつどうということないけれど、なんとなく楽しい。そんな年になったら、いいと思いませんか?

好物の柿の葉寿しを食べると、きまって思い出す話があります。奈良の山奥で育った親友がいった、こんな話です。
「森が深くて、昼間でもお日さまがどこにいるかわかんない。あたりは隠花植物ばかりで、いつも夕方みたいに暗いのよ。子供のとき、ひとりで森を歩くのが怖かった。怖かったけれども、どきどきしたくて歩くのさ。虫が動く音とかしだが揺れる音にまじって、カサカサッと音がする。狸や狐がいて、あたりで動物の目がいくつも光ってる。それが狸や狐なら、ちっとも怖くないんだ。それよりなにより森で怖いのは、人間に出会うこと。森の中でぜったい会いたくないのが、人間なのよ。動物がなに考えているのかなんて、想像しないけれども、人間はちがう。自分が人間だからわかるけれど、人ってなに考えているかわからないじゃない。だから、怖いんだよ」

たしかに、怖いのは人間だという彼の話は妙に説得力があります。そういえば、「怖い」といえば、「まんじゅう怖い」もございましたね。そう、落語もお正月らしくていいかも。