冷めても美味しいX'マス料理 2009/12/01 

クリスマスをフランス語で、ノエルといいます。イヴの24日は、レヴェイヨン。教会に行く人が減っているとはいえこの晩ばかりは、深夜ミサに訪れる人たちで賑わいます。私たち日本人が三が日、初詣をするのに似ています。意外なようですがクリスマスのお祭り気分は、カトリックよりプロテスタントの国のほうがはるかに盛大。シャンゼリゼ通りは別格として、イルミネーションはパリよりロンドンほうが華やかなんですよ。フランスの地方ではドイツと国境を接するアルザス地方のクリスマスマーケットが、おとぎの国のように素敵です。

クリスマスはその年で最大のイベントですが、あくまでも家族単位でしめやかにが鉄則。パリっ子たちは子供を連れて、プレゼントを車に積んで、両親と祖父母が待つ実家に急ぎます。その晩はだれもが普段よりちょっとだけおめかしをして、親戚一同で食卓を囲みます。肝心のお料理はといえば、生牡蠣やフォアグラのパテなど前菜系が活躍。この季節になると魚屋さんの店先に、5ダース、10ダース単位の木箱入りの生牡蠣がならびます。活きたまま鮮度を保つために魚屋さんが、木箱の上からばしゃばしゃ水を浴びせます。箱買いした生牡蠣の殻をむくのは、どこの家でも男性の役目。生牡蠣やフォアグラのほかに、ブーダンと呼ばれる、豚の血や脂肪を腸詰したソーセージもクリスマス料理の定番です。七面鳥や鶏の、大きな丸焼きも人気。それと、よく冷えたシャンパンでしょうか。

とはいえ、ここでも主役はお料理よりコミュニケーション。久々に会した親族たちとの交歓が、その晩のご馳走。冷めるのを気にしないで、心置きなくおしゃべりができるようにという配慮が、クリスマス料理の基本です。夜ふかしを許され、はしゃいでいた子供たちが寝室に引き揚げたあとの居間に、大人たちの聖夜にふさわしい団欒がただよいます。