タイトルが決りました 2008/07/15 

九月発売の、私のエッセイのタイトルが決りました。「パリでみつけた お金をかけずに人生を楽しむ方法」という題がちょっとガイドブック風ですが、中身は硬派な読み物。あえて「パリでみつけた」にこだわったのは、フランスから学んだのでもパリっ子を見習うのでもなく、日本人の私が自分の目でみた光景と、自分の耳で聞いた現実だけを綴った点を、強調したかったからです。

今さら「パリでみつけた・・・」でもなかろうと、お思いでしょうか。たしかに、そうなのですがこの一年、GSの店先で大勢のお客さまにじかに接して私は、万事について反省を余儀なくされたのでした。パリやフランスに慣れすぎたことで、いつの間にかひとりよがりのフランス観になっていたのではないか。料理も同じで、本場の本物を再現しているのだからという慢心が、私の気持ちのすみにありました。これからは「現地でおぼえた本場もの」だけを売りにしないで、「現地でおぼえた本場もの」をベースに、真心の料理作りに徹しよう。食べやすく、美味しい本物のフレンチを目指して、GSの厨房に立とうと思いました。

「そんなの、当たり前じゃないか。だから素人は困る」と、どうぞ呆れてください。「食べやすく」が、お箸の文化の私たちとフランス人とではちがうということに、遅ればせながら気付きました。右手にナイフ、左手にフォークが食卓のポーズになっている彼らと、お箸を自在に操る私たちとでは、お皿の中身もちがうはずですものね。イソップの「キツネとツル」の童話の意図も、あんがいこのあたりにあるのかもしれません。そんなこんなで、今回の『GSの夕べ』のメインは、食べやすいブイヤベース。親友のご主人が買ってきてくれたサフランがたっぷり入った、ブイヤベースのあとのお雑炊で二度美味しい。SMAP X SMAPをご覧になった方はお分かりでしようが、アラン・ドロンも驚く本場のブイヤベースにしました。