牛スネ肉の赤ワイン煮 2007/12/15 

ソースが決めてのフランス料理にあって、牛肉のワイン煮こそ作り手の面目躍如。GSをはじめてから、お料理の話が多すぎるとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、仕方ありません。日に10時間も厨房にいるのですから、ご容赦くださいね。本題に入る前に、一週間ほど気になっていることを書きます。お心当たりの方は、私にメールを再送してください。10年以上も前、『パリ20区物語』の版元の東京書籍さんに私宛のお手紙をくださった、娘と同じ歳の方です。先週、このホームページ経由でいただいたメールを消去してしまい、ご返事ができなくてごめんなさい。さて、それでは牛スネ肉の赤ワイン煮についてはじめましょう。

パリ時代を通じ、さんざん作りましたが、いざお客さまにお出ししてお代を頂戴するとなるとコストも考慮しなくてはなりませんし、心構えがちがいます。ワインをふんだんに使って煮る、食べて美味しい赤ワイン煮には自信がありましたが、残念ながら私のレシピから生まれるそれは茶色でした。そこで見た目をワインカラーに仕上げるために、思案の日々。ここにプロのコックさんがいらしたら、素人の悪戦苦闘と笑ってください。それではようやく編み出した方法を、みなさまにご披露しましょう。

煮込み用のお肉に、上等な部位は不向き。コラーゲンをたっぷり含んだスジや皮の部分が、とろみのもとになるのですもの。拳骨ほどの大きさにカットしたお肉を、多目の水で煮ます。前夜に強火で30分ほど煮立て、火を消してそのまま放置しておくと、翌日、小一時間も煮ればすみますから、手間ヒマが節約できます。塩胡椒、ブイヨンを加えて調味し、お肉の半分くらいまで、水気を飛ばします。このときバターと小麦粉少々で、とろみをつけておくのがコツでしようか。

それでは次に、肝心の赤ワインソースを作ります。大きなフライパンにワインを注ぎ、強火で四分の一まで煮詰めると、惚れ惚れするほど素敵なワインレッドになります。その中にお肉の煮汁を濾して少しずつ加え、最後にお肉をポシャリと浸します。熱々のお肉に真っ白なカブと真っ赤なニンジン、緑色のブロッコリーを添えてもいいですし、マッシュポテトも美味しい。本来GSは焼き菓子屋なのですが、10人以上のお客様には貸切で、夜のディナーをご用意。GSは私にとって、フランス家庭料理の総仕上げの場にもなりました。