果物の世界品評会があったなら 2006/10/01 
以前、フランスの友人夫妻に、特大のふじを航空便で送ったことがあります。シードルという度数の低いリンゴジュースや、リンゴの蒸留酒のカルヴァドスの生産農家の彼らの、そのときの驚きようといったら大変なものでした。電話口で目を丸くしているマダムとムッシュの顔が、目に浮ぶようでした。

「なに、これって本当にリンゴなの」
「こんな立派なリンゴ、一人で食べ切れないじゃない」
「エッ? リンゴがそんなに高いの」
「日本のリンゴって、まるでビジュー(宝石)みたい」

リンゴだけではありません。パリから東京に来たパリジェンヌが、モモを食べたときもそうでした。柔らかくて甘くてジューシーで、香り高いモモの美味しさに彼女は驚喜。日本で食べたものの中でモモが最高だったといって、大満足で彼女はパリに帰っていきました。ちなみにフランスのモモは直径5〜6センチ。固くて表面がチクチクしているというのに、フランス人は平然とモモを丸かじりします。

それにしても、わが国の果物の進化は相当なものです。この数年、中国の本土や香港のリッチな人たちの間で、日本産の高級フルーツが評判というのも頷けます。それに反してフランスは、旧態依然。20年間、地方も含めてフランス中のマルシェを数多く覗きましたが、彼の地の果物は進化ゼロ。種なしブドウもなければ、KAKI(カキ)のままで呼ばれているカキは、どこで買っても渋柿。リンゴは国光とか紅玉を一回り小さくしたサイズです。まちがいなく甘い、暗赤色のサクランボを1キロ買って、ガラス器に盛って眺めたものです。