「食育」は親子のコミュニケーションから 2006/05/15 
「子供が嫌いなものは食べてくれないから、作らないようになる」あるいは、「子供が好きなものしか作らない」 テレビの報道関係者を相手に、なん人もの母親がこう答えていました。世界初の「食育基本法」ができるくらいですから、わが国の子供の食の乱れは深刻です。

子供に食べさせる行為は、早い話が餌付け。愛情に満ちた餌付けです。飽食の国の仇花(あだばな)のような偏食が問題になっているのは、わが国だけです。私の独断と偏見を避けるために、子育て中の外国の親友数人に、子供の偏食について聞いてみました。

各国の母親たちは口裏を合わせたかのように、こういっていました。「小さいうちは好き嫌いがあっても、だんだんになくなるものよ。ただ、家庭でも学校の給食でも、あなたに食べてもらいたいから作っているということを、わが子にわからせなくてはなりません」 ちなみに子供が嫌いな食べものを母親たちにたずねたら、ほうれん草が圧倒多数でした。からだにいいから食べなさいと、くり返しいう母親の説明を子供は聞き、やがて納得して食べるようになる。ほうれん草からビタミンやミネラルなどの豊富な栄養を摂取するだけでなく、子供は食べものを通 じて母子のコミュニケーションも身につけるわけです。

ところで、冒頭の「嫌いなものは子供が食べてくれないから、作らないようになる」といった母親は、食事のしたく以前に子供と話すのが面 倒なのではないでしょうか。そこで私は、ほうれん草やニンジンのケーキを作る時間を、子供とのおしゃべりに回すことを提案します。子供の嫌いな匂いを消し、潰してかわいいケーキに仕上げる時間を、子供との会話に回してください。食べたほうがいい理由を、テーブルを挟んで座っている子供に話して聞かせて欲しい。「食育」の基本は、母と子のコミュニケーションにほかなりません。