カリフォルニアから来たシズコさん 2006/05/01 
カリフォルニアに30年暮らしているシズコさんが、いらっしゃいました。日系3世のご主人のアンディーは、カリフォルニア大学医学部の教授。私たちはパリで知り合い、彼らはアメリカに戻られました。8年ぶりの再会、東京ほぼ初体験のシズコさんでした。

シズコさんと築地市場を見学し、銀座通りを歩きました。場外のお寿司屋さんでにぎりをつまみ、銀座のブティックを二人で覗きました。 「東京が好きになっちゃった。どこも面白いし、美味しいし、それに安いのね。高嶺の花だと思っていた銀座で、洋服とバッグが買えるなんて幸せ。デーヴィスよりも、サクラメントよりも、東京のほうがモノが安いなんて、信じられない」

日ごろから、日本は暮らしにくいところではないと声高に叫んでいる私に、銀座通りで嬉々として買い物を楽しんでいるシズコさんのその言葉がとても励みになりました。“世界でもっとも物価が高い都市”と、東京にいる外国人駐在員がいうのは勝手です。ニューヨークやロンドン、パリやブリュッセルなどの先進都市で暮らしている日本人駐在員もまた、彼らがいる都市の物価高を嘆いていることでしょう。駐在員として滞在するのと、現地の人たちの生活観は、決定的にちがうのですから。そんな彼らのいうことを鵜呑みにして、東京は世界でもっとも暮らしにくい街だと、どうして私たちが思い込む必要があるでしょうか。現にカリフォルニアからいらしたシズコさんが、いいものが安く手に入る銀座に感動しているではありませんか。日本はいい国ですし、東京は暮らしにくい街などではないのです。ただ多くの方が、ちょっとだけ勘違いしている点を直せばいいだけのことです。この国のこれからに、私は興味がつきません。